24年ぶり一時136円台…止まらぬ円安、日銀に今こそ求められる判断

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円安が進み円相場は1ドル=136円台に(東京都中央区)

22日の東京外国為替市場は1ドル=136円台と1998年10月以来、約24年ぶりの円安水準となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が7月も0・75%の利上げに動く公算が大きくなっている。金融緩和政策を維持する日本との金利差がさらに拡大するとの見方が強まり、円を売ってドルを買う動きが強まった。

21日のニューヨーク外国為替市場で一時、同136円台後半まで値下がりするなど円安が進んでいた。FRBは15日に0・75%という大幅な利上げを決定。ウォラーFRB理事が18日、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0・75%の利上げを支持する姿勢を示すなど、インフレ抑制に向けた金融引き締めが加速するとの見方が強まっている。

一方、日銀は17日の金融政策決定会合で大規模金融緩和策の維持を決定。長期金利の上限を0・25%にするべく、指し値オペを続けているため、市場関係者からは「同140円台も視野に入った」との意見が出ている。

明治安田総合研究所の小玉祐一フェローチーフエコノミストは、円安の要因の8割は日米金利差の拡大で、その理由の大半は米金利の上昇だと指摘。「物価高対策を続けつつFRBの利上げ見通しのピークアウトを待つしかない」とした上で「23年まで利上げサイクルが続くとしても市場が先を読むことを考えれば円高への転換はもっと早い時期で訪れるはずだ」とした。

日刊工業新聞2022年6月23日

COMMENT

志田義寧
北陸大学
教授

円安が止まらない。22日には1ドル=136円台と約24年ぶりの円安水準をつけた。この背景にあるのが、主要中銀の中で唯一、金融緩和姿勢を維持する日銀の存在だ。黒田東彦総裁は17日の会見で「日本経済は回復途上にあり、金融政策でしっかりと支えていく必要がある」と強調したが、現行の金融政策を維持すれば内外金利差の拡大でさらに円安が進み、悪い物価上昇が加速する可能性がある。ただ、日銀も本音では大規模緩和を止めたいと思っている節がある。それが透けて見えたのが、黒田総裁の「家計の値上げ許容度が高まってきている」という発言だ。値上げ許容度が高まれば賃上げも容易になり、コストプッシュの「悪い物価上昇」は賃上げを伴う「良い物価上昇」に変化する。そうなれば正常化に向けて動き出せる。そんな願望があったのではないか。財務省・金融庁・日銀は10日、円安をけん制する声明を出したのに続き、20日には黒田総裁は岸田文雄首相と会談、為替市場の動向をめぐり意見交換した。円安阻止に向けた矢継ぎ早のパフォーマンスは、政府・日銀の手詰まり感を示している。日銀がすべきことは賃上げを待つことではない。現行の政策で9年間物価が上がらなかったことを謙虚に受け止め、メリットよりもデメリットの方が目立つようになってきたイールドカーブコントロール(長短金利操作=YCC)やマイナス金利を今こそ見直すべきだ。

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