訪日外国人需要「戻す」…星野リゾートが集客策であの手・この手
星野リゾート(長野県軽井沢町、星野佳路社長)は、大阪で4月に開業した都市観光型ホテル「OMO7大阪」などでサブスクリプション(定額制)サービスなどによるターゲットを絞った集客策を拡充している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きく落ち込んだインバウンド(訪日外国人)需要は「(2025年の)大阪・関西万博に向けて戻す」(星野社長)とする中、ニッチな需要も取り込み、稼働率向上につなげる考えだ。
サブスクでは資本業務提携しているKabuK Style(カブクスタイル、長崎市)のサービス「HafH(ハフ)」を導入した。毎月定額で国内外1000以上のホテル、旅館、ゲストハウスなどを利用できるサービスで、ワーケーションや多拠点居住などの新しいライフスタイルのニーズを取り込む。
ワーケーション対応では客室とは別に宿泊者専用にオンライン会議環境などを整えた個室「ワークルーム」を設けた。チェックインの前後でも利用でき、昼間の会議にも対応しやすい。寝具もある客室では仕事に集中しづらいという声があり、パソコンモニターやマイクスピーカー、広い机など旅先でも仕事がはかどる環境を構築した。
また旅行を敬遠する要因の一つであるペットの受け入れ可能なホテル・旅館を、OMO7大阪を含めて大幅に増やした。「犬も大切なゲスト」と捉え、犬との旅をサポートするアメニティーを備えた客室を設けた。料金は1頭1泊当たり5093円(消費税込み)。
OMO7大阪は近接する観光名所の新世界エリアなどを巡るツアー、敷地のほぼ半分を占める芝生エリアでのイベント開催など「小さな面白い話がたくさんあるホテル」(星野社長)として特徴を出している。アクセスの良さも生かせるように、都市観光以外のニーズにも対応するサービスを導入している。
星野社長は「マーケットが厳しい時は運営の実力が問われる」とする。コロナ禍で増えている近距離旅行や新たな生活様式の需要を取り込むためにも積極的に仕掛ける構えだ。