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トヨタG向け主力の車部品メーカーが半導体関連需要を取り込む、経営の柱にできるか

曙工業が装置向け事業拡充
トヨタG向け主力の車部品メーカーが半導体関連需要を取り込む、経営の柱にできるか

曙工業が半導体装置向け事業で新たに導入した牧野フライスの横型マシニングセンター「a92」

曙工業(愛知県安城市、杉山明隆社長)は、半導体製造装置向け事業を拡充する。新設備を導入し従来より6割程大型の真空チャンバーを製造するほか、生産性を3割高める。旺盛な半導体関連の需要を取り込み、現状2―3%の売上高比率を3年後には10%に引き上げ、年間2億円の売り上げを目指す。同社は総売上高の5割がトヨタ自動車グループ向けを中心とする自動車部品だが、これに次ぐ経営の柱として同事業を育てる。

曙工業は長年にわたり半導体製造装置向け事業を展開するが、これまでは現有設備で対応していた。半導体需要が長期に継続する「スーパーサイクル」が期待できることから設備増強を決めた。約7500万円を投じ、牧野フライス製作所の横型マシニングセンター(MC)「a92」を導入した。真空チャンバーを中心に真空ポンプや関連部品を製造する。

従来の装置では加工後に仕上げ加工が必要だったが、新MCではシール面加工の精度が向上し、工程の短縮につなげた。テーブル(パレット)サイズも、既存設備では500ミリメートル角だったが、新設備では800ミリメートル角に対応可能となった。

同社は自動車・半導体製造装置・航空機など幅広い分野の部品を製造する。新型コロナウイルス感染拡大の前は航空機向けが売上高の10%程度を占めていたが、現在は需要が低迷。これをニーズが高まる半導体製造装置向けで補う。自動車向けでは量産と試作の両方を手がける。特に試作は一つのキズもあってはならず、加工ノウハウなどを半導体製造装置向けに応用する。

自動車向けでも量産ラインを4ラインから2ラインに圧縮するなど自動化と効率化を進める。IoT(モノのインターネット)稼働監視システムの導入など設備の見える化にも取り組んでいる。

日刊工業新聞2022年6月21日

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