”ロビ”の生みの親が予見するロボットがケータイになる日!?
高橋智隆氏「モノづくりとコミュニケーションデザインの両方を自分で経験しないとだめだ」
手軽で利便性の高いIT機器となったスマートフォン。「いずれはスマホに手足が生えて、ヒューマノイドロボットがその役割を果たすようになる」と持論を展開するのは、ロボットクリエーターの高橋智隆氏だ。「15年後には1人が1台の“ロボット”をポケットに入れる時代が来るかもしれない」と予測する。
2月11日(日本時間)に米国カリフォルニア州ロングビーチの南西沖にロボットが飛来した。ロボ・ガレージ社長でロボットクリエーターの高橋智隆がトヨタ自動車や電通などと共同開発したコミュニケーションロボット「キロボ」だ。
2013年夏から国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、若田光一宇宙飛行士との会話実験などを行った。補給宇宙船に乗って帰還したキロボは感想を聞かれ、「地球はまるで青色LEDみたいだった。輝いていたよ」と返答した。
今回のプロジェクトの発端は酒の席だった。「友人と酒を飲みながら、宇宙に行った人型ロボットはいない。一番乗りになったら面白いよねと話していた」と高橋は振り返る。結果としてギネス世界記録に認定された。ロボットと会話することへの違和感や嫌悪感を抱く人は海外中心にまだまだ多い。「ISSの舞台で見せることで、人とロボットが普通にしゃべっても変ではない」と全世界へ訴えたかった。
産業用ロボット大国の日本でコミュニケーションロボットに特化するだけあって、そのこだわりはワールドクラスだ。創業以来ずっと一人でロボットを設計・製造している。「モノをつくること、コミュニケーションをデザインすることの両方において自分自身で経験することが不可欠」との信念からだ。
【筋金入りの職人】
京都大学工学部在籍時からのロボット設計・製造のノウハウが心身に蓄積されている。また、コミュニケーションや人の感性のツボに対する“気づき”も他人に任せられない。「人に任せて自分が楽をしてもうけていく仕組みになりようがない」と筋金入りの職人気質だ。とはいえ、金もうけを否定しているわけではない。実際、ロボ・ガレージの売り上げは順調に伸びているという。常に大手企業などとの4―5プロジェクトが同時進行している。「良い形で大企業と組まないと、私が思うロボットをつくれなくなる。契約締結時には知的財産の扱いなどにかなり注意を払っている」とシビアな一面を見せる。
ただ、それも全ては「困窮するとクリエーティビティーを保てなくなるのでまずい」とロボットづくりを最優先にするがゆえだ。
ロボット第1世代を自認する高橋。「黎明(れいめい)期を担う人たちはビジョンやビジネスモデルが最初からあったわけではなく、ただ好きでやっていただけ」と言い切る。その後に、金もうけの仕方を考えだす第2世代が台頭するのが市場形成の流れ。「ロボットはまだ第1世代が頑張っている途中」と産業の礎を築いているところだ。
黎明期の現在だが、同社から近く画期的なコミュニケーションロボットが登場しそうだ。ロボット型の携帯電話だ。いや、電話機能の付いた小型ロボットと言うべきかもしれない。「すでに開発を進めており、5年先10年先の話ではない」と明かす。
【スマホ感覚】
スマートフォンの派生品として、携帯電話ショップなどで販売したい考えだ。「購入者は電話機として使いつつ、ロボット独自の機能に徐々に気づいてもらう」のが初期の狙いだ。
加えて、そこには高橋の深謀遠慮が隠れている。いきなりロボット専門店を開設して販売しても、消費者にロボットと暮らす生活習慣がない中では普及しない。「新しい技術を普及させるためのステップを設計する必要がある」と既存の市場やインフラを活用する現実路線をとる。「街中で人の形をしたモノで話したりできるかなど、いろんなハードルはあるが―」と覚悟している。“暮らしにロボット”を一歩ずつ実現させる決意だ。(敬称略)
2月11日(日本時間)に米国カリフォルニア州ロングビーチの南西沖にロボットが飛来した。ロボ・ガレージ社長でロボットクリエーターの高橋智隆がトヨタ自動車や電通などと共同開発したコミュニケーションロボット「キロボ」だ。
2013年夏から国際宇宙ステーション(ISS)に滞在し、若田光一宇宙飛行士との会話実験などを行った。補給宇宙船に乗って帰還したキロボは感想を聞かれ、「地球はまるで青色LEDみたいだった。輝いていたよ」と返答した。
今回のプロジェクトの発端は酒の席だった。「友人と酒を飲みながら、宇宙に行った人型ロボットはいない。一番乗りになったら面白いよねと話していた」と高橋は振り返る。結果としてギネス世界記録に認定された。ロボットと会話することへの違和感や嫌悪感を抱く人は海外中心にまだまだ多い。「ISSの舞台で見せることで、人とロボットが普通にしゃべっても変ではない」と全世界へ訴えたかった。
産業用ロボット大国の日本でコミュニケーションロボットに特化するだけあって、そのこだわりはワールドクラスだ。創業以来ずっと一人でロボットを設計・製造している。「モノをつくること、コミュニケーションをデザインすることの両方において自分自身で経験することが不可欠」との信念からだ。
【筋金入りの職人】
京都大学工学部在籍時からのロボット設計・製造のノウハウが心身に蓄積されている。また、コミュニケーションや人の感性のツボに対する“気づき”も他人に任せられない。「人に任せて自分が楽をしてもうけていく仕組みになりようがない」と筋金入りの職人気質だ。とはいえ、金もうけを否定しているわけではない。実際、ロボ・ガレージの売り上げは順調に伸びているという。常に大手企業などとの4―5プロジェクトが同時進行している。「良い形で大企業と組まないと、私が思うロボットをつくれなくなる。契約締結時には知的財産の扱いなどにかなり注意を払っている」とシビアな一面を見せる。
ただ、それも全ては「困窮するとクリエーティビティーを保てなくなるのでまずい」とロボットづくりを最優先にするがゆえだ。
ロボット第1世代を自認する高橋。「黎明(れいめい)期を担う人たちはビジョンやビジネスモデルが最初からあったわけではなく、ただ好きでやっていただけ」と言い切る。その後に、金もうけの仕方を考えだす第2世代が台頭するのが市場形成の流れ。「ロボットはまだ第1世代が頑張っている途中」と産業の礎を築いているところだ。
黎明期の現在だが、同社から近く画期的なコミュニケーションロボットが登場しそうだ。ロボット型の携帯電話だ。いや、電話機能の付いた小型ロボットと言うべきかもしれない。「すでに開発を進めており、5年先10年先の話ではない」と明かす。
【スマホ感覚】
スマートフォンの派生品として、携帯電話ショップなどで販売したい考えだ。「購入者は電話機として使いつつ、ロボット独自の機能に徐々に気づいてもらう」のが初期の狙いだ。
加えて、そこには高橋の深謀遠慮が隠れている。いきなりロボット専門店を開設して販売しても、消費者にロボットと暮らす生活習慣がない中では普及しない。「新しい技術を普及させるためのステップを設計する必要がある」と既存の市場やインフラを活用する現実路線をとる。「街中で人の形をしたモノで話したりできるかなど、いろんなハードルはあるが―」と覚悟している。“暮らしにロボット”を一歩ずつ実現させる決意だ。(敬称略)
2015年04月20日 中小・ベンチャー・中小政策に加筆修正