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日本の金融市場にも影響を与えた?デビッド・ボウイ氏による著作権証券化

日本の金融市場にも影響を与えた?デビッド・ボウイ氏による著作権証券化

ミュージックセキュリティーズのウェブページより

 日本のクラウドファンディングの草分けであるミュージックセキュリティーズ(千代田区)はその名の通り、2000年代に入って証券化により若手アーティストの音楽作りを支援するファンドを立ち上げた。10日に亡くなったデビッド・ボウイ氏が、それより前の1997年に著作権を証券化していた。まだクラウドファンディングが夜明け前だった3年前のミュージックセキュリティーズ・小松真実社長のインタビューなどを振り返る。

ミュージックセキュリティーズ、事業ファンド20本に


日刊工業新聞2009年10月9日付


 ミュージックセキュリティーズ(東京都千代田区)は、個人から集めた資金を技術や製品開発の経験などを持つ事業者に投資する事業ファンドを2010年3月期中に現在の6本から20本に増やす。主にモノづくりに関連し地域性や文化性が高い事業者を対象として、個人投資家から資金をインターネットを通じて募り、事業資金を供給する。

 ミュージックセキュリティーズは若手アーティストの育成支援を目的とした音楽ファンドの運営を事業の柱とし、06年以降、レストランファンドや純米酒ファンドなどを運営している。

 同社は既存ファンドとは別に事業対象を農林業やアパレルなどに拡大した事業ファンドを6本立ち上げており、今年度中に新ファンドの組成を加速する。

 投資対象ではモノづくりや農林漁業に関するノウハウや経験などを持つ事業者を主な対象として、地域性や社会性のある起業家なども支援する。ファンドの規模は1000万―1億円程度を中心とし、投資単位は一口当たり1万―5万円を想定している。

 同社の運営するファンドの中心的な投資家層は30―40代で、興味を持ったり共感をおぼえたりする事業に対し資金を供給している。ファンドの組成・運営を通じて、個人投資家が起業家や事業者を後押しする投資スキームを広げる。

ミュージックセキュリティーズ社長・小松真実氏に聞く


2013年9月11日付


 ―クラウド・ファンディングの可能性は。
 「個人の金融資産が成長分野に流れる入り口になるだろう。VBや中小企業のプロジェクトなどに対して、インターネットを通じ、1口当たり1万円など少額で投資できるところが評価されている。今後、大きく伸びる分野だと考えている」

 ―そうした予兆はありますか。
 「認知度はそれほど高まっているようにも思えない。ただ、こういう資金の調達手段が有効ということで、地域の金融機関をはじめ、自治体、商工会議所などで関心を示しているところも出てきている。こうした動きがますます広がるだろう」

 ―事業を進める上での目標は。
 「アイデアの実現に向けて、人生を賭けて取り組んでいるにも関わらず、資金調達ができないために断念せざるをえないVBなども少なくない。インターネットを通じて小口投資を集めることで、こうした企業などを応援したい」

 ―普及に向けた課題は何ですか。
 「いかに投資家を増やすかが重要。クラウド・ファンディングを活用したい企業が増える中、投資家の利便性を高める手段を検討し実践する」
【略歴】
小松真実(こまつ・まさみ)00年(平12)多摩大経営情報卒、同年ミュージックセキュリティーズ合資会社創業。02年株式会社に組織変更し、社長。東京都出身。


日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
先鋭的な音楽はもとより奇抜なメイクや衣装、ミュージックビデオなどで日本のアーティストに多大な影響を与えた故デビッド・ボウイ氏の言動は、音楽業界にとどまらず金融分野にも影響を与えていました。ご冥福をお祈りします。

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