急ぐ製薬メーカー、再エネ電力に早期切り替え
製薬各社が旺盛な国内での生産活動を背景に、再生可能エネルギーへの転換を急ぐ。医薬品の品質や安全性などの確保は最優先にしつつ、本社や工場、クリーンルームなどで使用する電力を再生可能エネルギーへ早期に切り替える。政府が進めるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)施策の下で、二酸化炭素(CO2)排出量やエネルギー使用量の一層の削減を目指す。(藤木信穂)
武田薬品工業は4月、武田グローバル本社(東京都中央区)で購入する電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えた。これにより年約2100トンの温室効果ガス排出量の削減を見込む。これまでも工場や研究所など国内4拠点で導入済みで、2025年度に温室効果ガス排出量を16年度比で40%減らし、40年度までにゼロにする目標を掲げる。
英アストラゼネカは4月末に日本での取り組みを強化する提言を発表した。日本法人では20年にすべての購入電力を再生可能エネルギーに切り替え、21年からは営業車両を電気自動車(EV)へ移行中。「日本法人を環境分野のリーダーにする」考えだ。
企業が事業で使う電力の再生可能エネルギー率の100%化を推進する国際イニシアチブ「RE100」には、小野薬品工業や第一三共、エーザイが加盟するほか、4月に大塚ホールディングス(HD)も加わった。エーザイは30年までに、小野薬品と第一三共は遅くとも50年までに再生可能エネルギー率を100%にする計画だ。
大塚HDは28年までにCO2排出量を17年比半減を目指す。同社は日本に次いでCO2排出量の多いインドネシアのグループ会社4社に、再生可能エネルギーに由来する電力を導入した。これで「グループの年間CO2排出量の約13%にあたる9万4000トンが削減できる」とする。
日刊工業新聞 2022年6月2日