株安に揺れた一週間振り返り 「大発会」からの5日連続下げは戦後初
さて今週はどうなる?
**連休明けも悪い状況が続く 1万7697円(1月8日)
8日の東京株式市場は、戦後初となる大発会からの5日連続下落となった。日経平均株価の終値は前日比69円38銭安の1万7697円96銭で、3カ月ぶりの安値水準。人民元高と中国株の反発を材料に日経平均が1万8000円近くまで上昇する場面もあったが、米国の雇用統計発表を控えた手じまい売りも加速。午後の取引は値を下げる展開が続いた。
全33業種中30種が下落。電気・ガスや小売りなどこれまで買い越しが続いていた業種が下落し、中国関連と目される海運も下げが目立った。上昇はゴム製品、精密機器、機械。ブリヂストンや大日本スクリーン製造、アマダホールディングス、IHIなど、連日売られていた銘柄に買い戻しが入った。TOPIX(東証株価指数)も前日比10・62ポイント下落し1447・32となった。
市場関係者からは「5連続下落で反発エネルギーは高まっている」と期待する声も出ているが、翌週も見通しが悪い状況が続く。その次の週から日本企業の第3四半期決算発表が本格化するため、様子見ムードの投資家は多い。翌週は米国や中国で重要な経済指標が発表されることもあり、今週同様、海外に振り回される展開が続きそうだ。
7日の東京株式市場は、中国経済の先行き不安により4日続落。日経平均株価の終値は前日比423円98銭安の1万7767円34銭となった。大発会からの4日続落は1995年以来で史上タイ。日経平均の終値1万8000円割れは15年10月14日以来だ。
中国人民銀行の元安誘導で、安全資産とされる円にマネーが流入。為替が1ドル=117円台まで円高となり、日本株を押し下げた。中国・上海市場は同国経済の悪化懸念から売りが殺到。上海総合指数が急落し、緊急停止措置「サーキットブレーカー」が発動したため、取引はわずか30分で終了となった。
《株安の連鎖止まらず。円高・中国経済の悪化懸念》
大発会から4日連続下落となった7日の東京株式市場。年明けから“申(さる)年騒ぐ”の相場格言通り、波乱の展開となっている。「中国経済の減速懸念」と「為替の円高進行」という悪化要因も連日同じで、同日の日経平均株価の終値は前日比423円下落した。8日も下落すれば、史上初の大発会からの5日連続下落となる。
7日は33業種中、電気・ガスを除く32業種が下落した。電気・ガスが買われたのは、海外市場の不安定化が進む中、海外の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄として人気が集まったため。同様に医薬品、食品、サービス、小売りなど内需関連業種は比較的下げが少なかった。
一方で機械や海運などは、円高のマイナス影響を受けやすいことや、中国関連需要の低迷を嫌気され、売りが広がった。
日本企業の業績は堅調であり、現在の日本株はテクニカル指標的にも下げすぎの雰囲気があるため、8日の反発を期待する声は多い。ただ野村証券の元村正樹日本株ストラテジストは「今の市場はファンダメンタルズやテクニカル指標で動いておらず、投資家の心理悪化に左右される点が大きい」と指摘する。中国経済の先行き不安が横たわる限り、日本株の軟調な値動きは当面続きそうだ。
《一時1ドル=117円台》
7日の東京外国為替市場では、中国経済の減速懸念や中東情勢、北朝鮮の核実験などでリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全とされる円が買われ、17時時点で前日比72銭高の1ドル=118円02銭となった。一時は1ドル=117円60銭台と、約4カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。
中国人民銀行は7日、人民元の対ドル基準値を2011年3月以来の安値水準に設定すると発表。中国からの資金流出懸念が強まった結果、上海株が下落し、サーキットブレーカー(取引の一時停止措置)が発動された。中国経済の先行き懸念が高まり、東京株式市場の日経平均株価も下落。安全資産とされる円が買われた。
また、中東情勢の緊迫化や北朝鮮の核実験なども悪材料とされ、投資家がリスクを取りづらくなっている。日本企業の業績は良く、米国の利上げに対し日本は金融緩和を続けるため、中期的には円安・株高トレンドは続くとみるアナリストは多いが、先行きの不透明感は増している。
6日の北朝鮮による水爆実験実施が株式市場を揺さぶっている。東京株式市場の日経平均株価の下げ幅は一時300円を超えた。為替も円が一段と上昇し、1ドル=118円台後半で高止まりし、輸出関連銘柄の売りにつながっている。折からの中国経済の減速懸念や中東情勢の不安定化に加え、北朝鮮という地政学リスクも改めて浮上し、投資家心理を冷え込ませた格好だ。2016年の株式市場は当面波乱の展開となりそうだ。
6日の東京株式市場は3日続落、日経平均株価の終値は前日比182円68銭安の1万8191円32銭だった。大発会からの3日連続下落は1995年以来21年ぶり。中国人民銀行が人民元の中心レートを4年9カ月ぶりの低水準としたことで、リスク回避の円買いが増え、円高・株安が進行。北朝鮮の水爆実験も嫌気され売りが続出した。取引終了間際には買い戻しの動きも起こったが、下落分を埋めるに至らなかった。
全33業種中30業種が下落。米アップルがiPhoneを減産すると報じられたことで、ファナックや日東電工、TDK、村田製作所など関連銘柄の下げが目立った。
過去に北朝鮮が核実験を行った際は株価に大きな影響を与えず、上昇するケースもあったが、今回はもともと人民元の問題で下げ基調だったこともあり下落幅が拡大。海外投資家の間にはアジア地域の緊張が高まったと受け止める向きもあり、アジア市場が全体的に値を下げた。
SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は「大発会からの3日連続下落は今回で6回目。過去5回は年間騰落率で見ると1勝4敗」という。21年ぶりの3日連続下落により市場には暗いムードが漂い始めている。
【私はこう見る=りそな銀行・チーフ・マーケット・ストラテジスト 黒瀬浩一氏】
投資家は不透明感を避けるのが鉄則だ。北朝鮮の金正恩氏の胸中は誰にもわかるわけがなく、(市況の動きは)とりあえずリスクを避けた形だ。問題はリスクが今後、どの程度、顕在化するかだ。
株価の見通しもこの先の1週間は不透明感はあるものの、3カ月先という期間では全く変える必要はない。新年の賀詞交歓会では多くの企業経営者が国内総生産(GDP)1%成長、企業収益10%増と語っていた。今後も市場を揺さぶるような海外要因は出てくるだろうが、達成の確度は高いのではないだろうか。
5日の東京株式市場は続落、日経平均株価の終値は前日比76円98銭安の1万8374円00銭だった。午前の取引は、前日急落を受けた”押し目買い“が入ったことや、中国の上海総合指数がいったん上昇したことを受け株価が上昇。ただ買い材料に乏しく午後は再びマイナス圏に。中国経済の減速や中東の地政学リスクをきっかけとする世界的な株安の流れを払拭できず続落となった。
全33業種中20業種が下落。水産・農林、保険、輸送用機器の下げが目立った一方、情報・通信、電気・ガスは上昇した。銘柄別で見るとファナックやファーストリテイリングなどが下げ、KDDIやアドバンテストが上昇した。新興市場ではジャスダックが値を下げたが、マザーズは堅調だった。SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は「今週は米国の統計がいくつか出る。堅調な数値であれば日経平均株価は1万8000円後半で推移する」と予測している。
チャイナショック、再びか―。2016年の初取引である4日の東京株式市場は、中国経済の悪化不安により大幅下落、日経平均株価の終値は前営業日比582円73銭安となる1万8450円98銭だった。大発会としては過去2番目の下げ幅で、大発会の下落は3年連続となった。投資家のリスク回避の動きで取引時間中の為替が1ドル=119円の円高になったこと、サウジアラビアとイランが外交断絶と伝わったこともマイナスに影響した。
4日の日経平均株価は、昨年末に3日連続で上昇した影響もあり、下落スタート。午前の取引中に伝わった中国の景況指数が前月比マイナスだったことが投資家心理を冷やし、株価が大幅下落。午後の取引は買い材料も少なく、上値が重い展開が続いた。
波乱のスタートとなった東京市場だが、16年は夏に参議院選挙を控えていることもあり、先行きを極端に悲観する意見は少ない。野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)も「(4日の大幅下落は)外部要因が大きい。日本企業の業績は手堅く、16年の日経平均株価は2万2000円前後まで想定できる」とコメントしている。
懸念となりそうなのは、海外要因だ。中国経済の動向だけでなく、米国の利上げペース、中東の政治動向に世界の投資家の視線が集まる。リーマン・ショックのような大問題でなくとも、海外不安は東京市場を激しく揺さぶるだろう。“申酉(さるとり)騒ぐ”の相場格言通り、16年は落ち着かない一年となりそうだ。
【私はこう見る=いちよし証券投資情報部長・大塚俊一氏】
4日の東京株式市場で日経平均株価は2015年末の米株安により反落して始まり、さらに中国で発表された15年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の低調による中国株安の影響を受け、日本も株安となった。
ただ、企業業績は良く、通常国会が始まり補正予算も出てくるため、このまま株価が下がることは想定していない。しばらくは1万8500円近辺で推移する可能性が高いとみている。1月下旬に企業の第3四半期決算発表が始まれば、反発していくだろう。
また中期的にも、米国は利上げし、日本は金融緩和を続けるため円安トレンドは続く。原油安もあり、企業業績は伸び、業績に沿った株価形成がなされるだろう。
【第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏】
昨年からたまっていた負のマグマが一気に吹き出した印象だ。具体的には中国の景気減速リスクに端を発して日経平均の大幅下落となった。12月の中国製造業の購買担当者景気指数(PMI)は48・2となり、景況感の分かれ目となる50を下回るなど一段と悪くなっている。
人民元の下落を容認しているとの見方もあり、中国経済は相場の下押し要因になっている。為替相場も円が1ドル=120円台を割り込み、一気に円高へぶれた。当初、相場は米利上げによるリスクを様子見する動きと見ていたが、市場はしばらくは乱高下が続くだろう。米利上げや雇用統計で、米国経済の基調に好感が持てれば、円安に戻る可能性はある。
8日の東京株式市場は、戦後初となる大発会からの5日連続下落となった。日経平均株価の終値は前日比69円38銭安の1万7697円96銭で、3カ月ぶりの安値水準。人民元高と中国株の反発を材料に日経平均が1万8000円近くまで上昇する場面もあったが、米国の雇用統計発表を控えた手じまい売りも加速。午後の取引は値を下げる展開が続いた。
全33業種中30種が下落。電気・ガスや小売りなどこれまで買い越しが続いていた業種が下落し、中国関連と目される海運も下げが目立った。上昇はゴム製品、精密機器、機械。ブリヂストンや大日本スクリーン製造、アマダホールディングス、IHIなど、連日売られていた銘柄に買い戻しが入った。TOPIX(東証株価指数)も前日比10・62ポイント下落し1447・32となった。
市場関係者からは「5連続下落で反発エネルギーは高まっている」と期待する声も出ているが、翌週も見通しが悪い状況が続く。その次の週から日本企業の第3四半期決算発表が本格化するため、様子見ムードの投資家は多い。翌週は米国や中国で重要な経済指標が発表されることもあり、今週同様、海外に振り回される展開が続きそうだ。
「サーキットブレーカー」が発動 1万8000円割れ(1月7日)
7日の東京株式市場は、中国経済の先行き不安により4日続落。日経平均株価の終値は前日比423円98銭安の1万7767円34銭となった。大発会からの4日続落は1995年以来で史上タイ。日経平均の終値1万8000円割れは15年10月14日以来だ。
中国人民銀行の元安誘導で、安全資産とされる円にマネーが流入。為替が1ドル=117円台まで円高となり、日本株を押し下げた。中国・上海市場は同国経済の悪化懸念から売りが殺到。上海総合指数が急落し、緊急停止措置「サーキットブレーカー」が発動したため、取引はわずか30分で終了となった。
《株安の連鎖止まらず。円高・中国経済の悪化懸念》
大発会から4日連続下落となった7日の東京株式市場。年明けから“申(さる)年騒ぐ”の相場格言通り、波乱の展開となっている。「中国経済の減速懸念」と「為替の円高進行」という悪化要因も連日同じで、同日の日経平均株価の終値は前日比423円下落した。8日も下落すれば、史上初の大発会からの5日連続下落となる。
7日は33業種中、電気・ガスを除く32業種が下落した。電気・ガスが買われたのは、海外市場の不安定化が進む中、海外の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄として人気が集まったため。同様に医薬品、食品、サービス、小売りなど内需関連業種は比較的下げが少なかった。
一方で機械や海運などは、円高のマイナス影響を受けやすいことや、中国関連需要の低迷を嫌気され、売りが広がった。
日本企業の業績は堅調であり、現在の日本株はテクニカル指標的にも下げすぎの雰囲気があるため、8日の反発を期待する声は多い。ただ野村証券の元村正樹日本株ストラテジストは「今の市場はファンダメンタルズやテクニカル指標で動いておらず、投資家の心理悪化に左右される点が大きい」と指摘する。中国経済の先行き不安が横たわる限り、日本株の軟調な値動きは当面続きそうだ。
《一時1ドル=117円台》
7日の東京外国為替市場では、中国経済の減速懸念や中東情勢、北朝鮮の核実験などでリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全とされる円が買われ、17時時点で前日比72銭高の1ドル=118円02銭となった。一時は1ドル=117円60銭台と、約4カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。
中国人民銀行は7日、人民元の対ドル基準値を2011年3月以来の安値水準に設定すると発表。中国からの資金流出懸念が強まった結果、上海株が下落し、サーキットブレーカー(取引の一時停止措置)が発動された。中国経済の先行き懸念が高まり、東京株式市場の日経平均株価も下落。安全資産とされる円が買われた。
また、中東情勢の緊迫化や北朝鮮の核実験なども悪材料とされ、投資家がリスクを取りづらくなっている。日本企業の業績は良く、米国の利上げに対し日本は金融緩和を続けるため、中期的には円安・株高トレンドは続くとみるアナリストは多いが、先行きの不透明感は増している。
「北」の水爆実験も嫌気 1万8191円(1月6日)
6日の北朝鮮による水爆実験実施が株式市場を揺さぶっている。東京株式市場の日経平均株価の下げ幅は一時300円を超えた。為替も円が一段と上昇し、1ドル=118円台後半で高止まりし、輸出関連銘柄の売りにつながっている。折からの中国経済の減速懸念や中東情勢の不安定化に加え、北朝鮮という地政学リスクも改めて浮上し、投資家心理を冷え込ませた格好だ。2016年の株式市場は当面波乱の展開となりそうだ。
6日の東京株式市場は3日続落、日経平均株価の終値は前日比182円68銭安の1万8191円32銭だった。大発会からの3日連続下落は1995年以来21年ぶり。中国人民銀行が人民元の中心レートを4年9カ月ぶりの低水準としたことで、リスク回避の円買いが増え、円高・株安が進行。北朝鮮の水爆実験も嫌気され売りが続出した。取引終了間際には買い戻しの動きも起こったが、下落分を埋めるに至らなかった。
全33業種中30業種が下落。米アップルがiPhoneを減産すると報じられたことで、ファナックや日東電工、TDK、村田製作所など関連銘柄の下げが目立った。
過去に北朝鮮が核実験を行った際は株価に大きな影響を与えず、上昇するケースもあったが、今回はもともと人民元の問題で下げ基調だったこともあり下落幅が拡大。海外投資家の間にはアジア地域の緊張が高まったと受け止める向きもあり、アジア市場が全体的に値を下げた。
SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は「大発会からの3日連続下落は今回で6回目。過去5回は年間騰落率で見ると1勝4敗」という。21年ぶりの3日連続下落により市場には暗いムードが漂い始めている。
【私はこう見る=りそな銀行・チーフ・マーケット・ストラテジスト 黒瀬浩一氏】
投資家は不透明感を避けるのが鉄則だ。北朝鮮の金正恩氏の胸中は誰にもわかるわけがなく、(市況の動きは)とりあえずリスクを避けた形だ。問題はリスクが今後、どの程度、顕在化するかだ。
株価の見通しもこの先の1週間は不透明感はあるものの、3カ月先という期間では全く変える必要はない。新年の賀詞交歓会では多くの企業経営者が国内総生産(GDP)1%成長、企業収益10%増と語っていた。今後も市場を揺さぶるような海外要因は出てくるだろうが、達成の確度は高いのではないだろうか。
ファナックやファーストリテなど下げ 1万8374円(1月5日)
5日の東京株式市場は続落、日経平均株価の終値は前日比76円98銭安の1万8374円00銭だった。午前の取引は、前日急落を受けた”押し目買い“が入ったことや、中国の上海総合指数がいったん上昇したことを受け株価が上昇。ただ買い材料に乏しく午後は再びマイナス圏に。中国経済の減速や中東の地政学リスクをきっかけとする世界的な株安の流れを払拭できず続落となった。
全33業種中20業種が下落。水産・農林、保険、輸送用機器の下げが目立った一方、情報・通信、電気・ガスは上昇した。銘柄別で見るとファナックやファーストリテイリングなどが下げ、KDDIやアドバンテストが上昇した。新興市場ではジャスダックが値を下げたが、マザーズは堅調だった。SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は「今週は米国の統計がいくつか出る。堅調な数値であれば日経平均株価は1万8000円後半で推移する」と予測している。
“申酉騒ぐ”波乱のスタート 1万8450円(1月4日)
チャイナショック、再びか―。2016年の初取引である4日の東京株式市場は、中国経済の悪化不安により大幅下落、日経平均株価の終値は前営業日比582円73銭安となる1万8450円98銭だった。大発会としては過去2番目の下げ幅で、大発会の下落は3年連続となった。投資家のリスク回避の動きで取引時間中の為替が1ドル=119円の円高になったこと、サウジアラビアとイランが外交断絶と伝わったこともマイナスに影響した。
4日の日経平均株価は、昨年末に3日連続で上昇した影響もあり、下落スタート。午前の取引中に伝わった中国の景況指数が前月比マイナスだったことが投資家心理を冷やし、株価が大幅下落。午後の取引は買い材料も少なく、上値が重い展開が続いた。
波乱のスタートとなった東京市場だが、16年は夏に参議院選挙を控えていることもあり、先行きを極端に悲観する意見は少ない。野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)も「(4日の大幅下落は)外部要因が大きい。日本企業の業績は手堅く、16年の日経平均株価は2万2000円前後まで想定できる」とコメントしている。
懸念となりそうなのは、海外要因だ。中国経済の動向だけでなく、米国の利上げペース、中東の政治動向に世界の投資家の視線が集まる。リーマン・ショックのような大問題でなくとも、海外不安は東京市場を激しく揺さぶるだろう。“申酉(さるとり)騒ぐ”の相場格言通り、16年は落ち着かない一年となりそうだ。
【私はこう見る=いちよし証券投資情報部長・大塚俊一氏】
4日の東京株式市場で日経平均株価は2015年末の米株安により反落して始まり、さらに中国で発表された15年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の低調による中国株安の影響を受け、日本も株安となった。
ただ、企業業績は良く、通常国会が始まり補正予算も出てくるため、このまま株価が下がることは想定していない。しばらくは1万8500円近辺で推移する可能性が高いとみている。1月下旬に企業の第3四半期決算発表が始まれば、反発していくだろう。
また中期的にも、米国は利上げし、日本は金融緩和を続けるため円安トレンドは続く。原油安もあり、企業業績は伸び、業績に沿った株価形成がなされるだろう。
【第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏】
昨年からたまっていた負のマグマが一気に吹き出した印象だ。具体的には中国の景気減速リスクに端を発して日経平均の大幅下落となった。12月の中国製造業の購買担当者景気指数(PMI)は48・2となり、景況感の分かれ目となる50を下回るなど一段と悪くなっている。
人民元の下落を容認しているとの見方もあり、中国経済は相場の下押し要因になっている。為替相場も円が1ドル=120円台を割り込み、一気に円高へぶれた。当初、相場は米利上げによるリスクを様子見する動きと見ていたが、市場はしばらくは乱高下が続くだろう。米利上げや雇用統計で、米国経済の基調に好感が持てれば、円安に戻る可能性はある。