EVに重点投資するホンダ系部品メーカー、部品不足・原材料高騰の重荷にどう対応するか
ホンダ系部品メーカーは2023年3月期、電気自動車(EV)領域に重点投資する。ホンダが30年にEVを年間200万台生産する目標を発表するなど、完成車メーカーが電動化戦略を加速する動きに呼応する。一方で重荷となるのが、部品不足に伴う度重なる生産調整や原材料価格の高騰だ。ホンダも部品メーカーとの連携を強め、解決策を探る方針を示している。
「ホンダをはじめ完成車メーカーの計画が見えてきた。EVシフトを成長機会と捉え事業拡大を目指す」。ジーテクトの高尾直宏社長はこう強調する。今後10年でEV関連の研究開発と設備投資に700億円を投じ、モーターコアや電池ハウジングの事業化を図る。
エフテックは、23年3月期のEV向け部品の売上高を前期比46・7%増の220億円に伸ばす計画だ。福田祐一社長は「ホンダのEV戦略に開発段階から入り込む」と話す。米ゼネラル・モーターズ(GM)などホンダ以外からの受注にも意欲をみせる。
次世代技術に目を配りつつ、足元の投資も継続する。ホンダは23年3月期の設備投資額を同79・6%増の5000億円に設定。北米でスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」などを投入予定で、生産体制を増強する。サプライヤーもこの動きに対応。ジーテクトは北米での設備投資を同4・9倍の78億円と見込む。エフ・シー・シーは同20・6%増の13億円とする計画だ。
一方で自動車業界では、部品不足などによる減産が続く。直前に生産計画が変わることも多い。テイ・エステックの保田真成社長は「生産人員を確保しておく必要があり、固定費が利益を圧迫する」と懸念。エフテックの福田社長は「従業員の多能工化を進めている」と対応策を明かす。
ホンダも対応に知恵を絞る。水野泰秀執行役専務は「急激な減産で迷惑をかけている。半導体メーカーと長期契約を結ぶなどして生産変動を少なくしたい」と話す。原材料高騰などが続く点についても竹内弘平副社長は「サプライヤーだけにコストダウンをお願いするのは非常に苦しい」とし、代替材料への切り替えなどで影響を抑える考えだ。