「市場縮小」「エネルギー価格高騰」が重し…医薬品卸は業績をどう伸ばすか
新型コロナウイルス感染症の収束が見込めない中、医薬品の安定供給を担う医薬品卸業界は積極的なデジタル変革(DX)投資や物流の効率化により業績を伸ばす。毎年の薬価改定による市場縮小やエネルギー価格の高騰など外部要因による影響が重しとなるが、医薬品卸4社の2023年3月期連結決算予想は3社で増収、3社が営業増益を見込む。
アルフレッサホールディングス(HD)は「間接部門の最適化や業務の集約化といった“守りのDX”と、物流機能を高度化するなど“攻めのDX”を同時に進める」(荒川隆治社長)計画。今後3年間で設備増強に700億円、DX化に100億円を充てる。
メディパルHDは23年1月に物流センターを新設し、効率的な物流網を全国へ広げる。
スズケンは「売上高とシェアを上げれば利益が連動する構図は終わる」(浅野茂社長)として、協業で行うデジタルヘルス事業を強化するほか、コスト削減と値上げ交渉の徹底による利益重視体制へとかじを切る。
22年3月期はアルフレッサHD、スズケン、東邦HDで独占禁止法違反による入札指名停止の影響があったが、コロナ禍の受診控えが徐々に解消しつつあることなどが寄与した。
日刊工業新聞2022年5月18日