TSMC「日本初工場」は予定通り稼働できるのか。抱える課題
半導体受託生産世界最大手の台湾TSMCがいよいよ日本に工場進出する。4月に熊本県菊陽町で新工場を着工、2024年12月の出荷を目指すという。今や世界各国にとって半導体は最重要「戦略物資」であり、経済から軍事に至るまで国家の競争力に直結する。
半導体サプライチェーンの「作る」部分においては、ファウンドリー世界シェア6割超のTSMCに大きく依存している。米国も日本とほぼ同じタイミングでTSMCの新工場をアリゾナで稼働させる計画。近い将来、「台湾有事」も想定される中、TSMCはサプライチェーンの要衝であり、地政学的にも安全保障的にもその動向から目が離せない。
日本の新工場で気になるのは、まず予定通り稼働できるのかという問題。工場の建設資材や製造装置などで納期問題が発生している。もう一つは工場稼働に際して生産現場の従業員が確保できるのかという問題。2000人程度の人員が必要で、九州内で確保するのも用意ではない。日本の半導体産業は20年以上も地盤沈下を続けてきており、産業に携わる人材も高齢化してきている。
そして最大のポイントは、TSMCの日本進出が呼び水となって日本の半導体産業が復権していくことになるのか。また大口需要家として想定される国内自動車産業にとって追い風となるのか。
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