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広がる日本製の航空エンジン部品

チタン合金や羽根を供給へ
広がる日本製の航空エンジン部品

菊地歯車のタービンブレードが使われるエンジン「LEAP」シリーズ(2015年6月のパリ航空ショー)

**新日鉄住金は仏社へチタン供給
 新日鉄住金はフランスのサフラングループ(パリ市)とチタン合金ビレットを供給することで合意した。サフラングループ傘下の航空機ジェットエンジンメーカー、スネクマ(エソンヌ県クールクロンヌ市)へ長期間供給する。現在、供給契約締結に向けた手続き中で、具体的な数量や供給期間は非公表。

 製造拠点は日鉄住金直江津チタン(新潟県上越市)。昨年、新たに導入した電子ビーム式溶解炉と真空アーク式溶解炉によるインゴット溶解の認定を航空機メーカーから取得。一定量のチタン合金ビレットをスネクマに供給した。今回の契約はこれを更新するもの。

 スネクマは米ゼネラル・エレクトリックとの合弁会社で新型エンジンを開発。これが新型機「ボーイング737MAX」「エアバス320NEO」に搭載されることが決まっている。新日鉄住金ではこれによって、素材となるチタンの供給量も増えていくと見込んでいる。

エンジンの「羽根」は栃木の菊地歯車が供給


 【宇都宮】商工中金は2015年12月28日、菊地歯車(栃木県足利市、菊地義典社長、0284・71・4315)が2016年内の量産開始を目指すフランスのエンジン製造大手スネクマ向けの部品事業に5億円を融資した。中小企業の海外進出を地域金融機関と協調して後押しする「グローバルニッチトップ支援貸付制度」を活用した。

 足利銀行と足利小山信用金庫も融資に参加したが、金額は明らかにしていない。調達資金は専用工場の建設や設備の導入などに充てる。

 菊地歯車は6月、仏スネクマから、エンジン用の低圧タービンブレード(羽根)の量産を直接受注したことを明らかにした。このブレードは欧エアバスの小型航空機「A320neo」などに搭載される予定。

 これを受け、足利市寺岡町の同社所有地に約3000平方メートルの専用工場の建設を進めている。タービンブレードの素材となるチタンアルミニウム合金を加工する5軸マシニングセンターなどを設備する。

 さらに菊地歯車は9月、スネクマ向け部品生産の事業主体となる子会社「AeroEdge(エアロエッジ)」(足利市、森西淳社長=菊地歯車航空宇宙事業部事業部長)を設立。16年1月に、同事業をエアロエッジに譲渡する。

 エアロエッジには日本政策投資銀行がすでに資本参加を決めており、金融を含めた支援の布陣が固まりつつある。
2016年01月08日付、2015年12月29日付日刊工業新聞記事を再編集
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
航空業界では、エアバスが型式証明を最近取得した「A320neo」や、ボーイングが開発中の「737MAX」の売れ行きが好調で、それに搭載されるエンジンの需要も爆発的に増えています。欧米サプライヤーの壁は高いですが、日本企業の参入拡大を応援したいところですね。

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