GEのジェットエンジン、空を飛ばずにバンコクを動かした!
柔軟に設置でき、瞬発力のある発電設備は新興国キラーになるか
タイは長年にわたり日の出の勢いで成長を続けてた。わずか一世代の間に社会面・経済面の飛躍的な進歩を果たし、低所得国から高位中所得国となったタイの貧困率はほぼ半減している。しかし人口が首都に集中しているため、安定していて信頼性が高い電力を確保するのはまだまだ難しい状況。
この手の話はタイに限ったものではなく、さまざまな発展途上国でも同様。発電所の建設には莫大な費用と年月が必要だからだ。しかも、タイのような国土特性のもとでは、事態はより複雑化する。複数の大都市が広大な密林で隔てられているうえ、その密林の中にも小さな村が点在しているのだ。
こうした中、タイでは発電事業者と電力利用者とが一緒になって代替エネルギープロジェクトの推進やエネルギー効率向上に取り組み、電気の普及を進めてた。さらに、タイの民間発電事業者、ガルフ・エナジー・デベロップメント(以下、ガルフ)がバンコクへの電力供給のために新たな巨額投資を行うことを発表。
同社は、過酷な状況下での発電に適した米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最新型ガスタービン「LM6000-PF+」を6基導入することを決めた。こうして空を飛ばずして街の電力を支えるGEのジェットエンジン、実ははすでに世界で数多く活用されている。
GEパワー&ウォーターのエンジニア、シェリフ・モハメド氏は「電力需要を満たすだけでなく、環境への責任も果たさなくてはいけない。単に電力を供給するだけでなく、発電効率が高く、柔軟性や信頼性の高い発電プロジェクトが求められている」という。
「LM6000-PF+」と呼ばれる発電効率の高いGE製ガスタービンは、もともとは航空機エンジンのために開発された技術を用いるため、「エアロデリバティブ」と呼ばれている。わずか3カ月以内に発電を開始することが可能で、最近ではエジプトでも導入された。
また、このタービンはガス燃料と液体燃料のいずれも使用可能で、GEによると、発電効率は業界最高水準の56%という。1基あたりの発電量は最大58メガワットにのぼり、これは5万世帯分を十分に賄える電力に相当する。
滑走路を滑り抜けるジェットエンジンさながらに、このガスタービンも電力が必要になるとすぐに定格出力まで到達。「ガルフのプロジェクトでは、全6基のタービンで約300メガワット発電するのに、常温からの起動でもわずか10分で定格出力に達するはず。多くの発展途上地域が望んでいるのは、こうしたフレキシブルな設備」(GEパワー&ウォーターのプロダクトライン・マネージャー、ナセル・チラビ氏)
このタービン特性を生み出したのは、GEの4つの異なる事業のノウハウの組み合わせ。GEが「GEストア」と呼ぶイノベーション手法で、今回の「エアロデリバティブ」でも、ガスタービンに利用されているジェットエンジンの新技術はGEアビエーション、タービンと発電機を連結するギアボックスはGEのオイル&ガス事業部門が開発した。また制御ソフトウェアはGEエナジー・マネジメントが手掛けている。
今、災害対策の面からも注目されている電源(発電施設)の分散化においても、この技術は有用。同じく分散化の手段のひとつとして今後導入が進む再生可能エネルギーは低CO2排出という魅力的な電源である一方で、発電能力は風力や太陽光の状態に依存することから、それ単体では安定供給が難しいケースがあるのも事実。
エアロデリバティブは出力変動能力を活かして再生可能エネルギーの供給を補う『グリッドファーミング』にも使える。実際にハワイなどでは風力発電のバックアップ電源になっている。
様々な技術が出揃ってきたことで、国や地域の電力基盤をよりフレキシブルに設計できる時代が始まっている。
この手の話はタイに限ったものではなく、さまざまな発展途上国でも同様。発電所の建設には莫大な費用と年月が必要だからだ。しかも、タイのような国土特性のもとでは、事態はより複雑化する。複数の大都市が広大な密林で隔てられているうえ、その密林の中にも小さな村が点在しているのだ。
なぜ最新型ガスタービンは重宝されるのか
こうした中、タイでは発電事業者と電力利用者とが一緒になって代替エネルギープロジェクトの推進やエネルギー効率向上に取り組み、電気の普及を進めてた。さらに、タイの民間発電事業者、ガルフ・エナジー・デベロップメント(以下、ガルフ)がバンコクへの電力供給のために新たな巨額投資を行うことを発表。
同社は、過酷な状況下での発電に適した米ゼネラル・エレクトリック(GE)の最新型ガスタービン「LM6000-PF+」を6基導入することを決めた。こうして空を飛ばずして街の電力を支えるGEのジェットエンジン、実ははすでに世界で数多く活用されている。
GEパワー&ウォーターのエンジニア、シェリフ・モハメド氏は「電力需要を満たすだけでなく、環境への責任も果たさなくてはいけない。単に電力を供給するだけでなく、発電効率が高く、柔軟性や信頼性の高い発電プロジェクトが求められている」という。
「LM6000-PF+」と呼ばれる発電効率の高いGE製ガスタービンは、もともとは航空機エンジンのために開発された技術を用いるため、「エアロデリバティブ」と呼ばれている。わずか3カ月以内に発電を開始することが可能で、最近ではエジプトでも導入された。
また、このタービンはガス燃料と液体燃料のいずれも使用可能で、GEによると、発電効率は業界最高水準の56%という。1基あたりの発電量は最大58メガワットにのぼり、これは5万世帯分を十分に賄える電力に相当する。
滑走路を滑り抜けるジェットエンジンさながらに、このガスタービンも電力が必要になるとすぐに定格出力まで到達。「ガルフのプロジェクトでは、全6基のタービンで約300メガワット発電するのに、常温からの起動でもわずか10分で定格出力に達するはず。多くの発展途上地域が望んでいるのは、こうしたフレキシブルな設備」(GEパワー&ウォーターのプロダクトライン・マネージャー、ナセル・チラビ氏)
再生可能エネルギーの対立軸はない?
このタービン特性を生み出したのは、GEの4つの異なる事業のノウハウの組み合わせ。GEが「GEストア」と呼ぶイノベーション手法で、今回の「エアロデリバティブ」でも、ガスタービンに利用されているジェットエンジンの新技術はGEアビエーション、タービンと発電機を連結するギアボックスはGEのオイル&ガス事業部門が開発した。また制御ソフトウェアはGEエナジー・マネジメントが手掛けている。
今、災害対策の面からも注目されている電源(発電施設)の分散化においても、この技術は有用。同じく分散化の手段のひとつとして今後導入が進む再生可能エネルギーは低CO2排出という魅力的な電源である一方で、発電能力は風力や太陽光の状態に依存することから、それ単体では安定供給が難しいケースがあるのも事実。
エアロデリバティブは出力変動能力を活かして再生可能エネルギーの供給を補う『グリッドファーミング』にも使える。実際にハワイなどでは風力発電のバックアップ電源になっている。
様々な技術が出揃ってきたことで、国や地域の電力基盤をよりフレキシブルに設計できる時代が始まっている。