いすゞ・日産・三菱ふそう…日系自動車メーカーのアフリカ投資が加速している理由
日系自動車メーカーのアフリカ事業が広がっている。いすゞ自動車は現地ディーラーと連携しガーナで完成車の組み立てを始める。日産自動車もガーナやナイジェリアでの組み立てを拡大する。三菱ふそうトラック・バスは仏CFAOグループと代理店契約し、タンザニアにトラックを投入する。北アフリカ地域や南アフリカを中心に自動車産業は集積するが、経済成長や中間層の増加を見込んでサブサハラ地域での投資が相次いでいる。
いすゞは2022年にもガーナで完成車のノックダウン生産に乗り出す。現地の正規販売代理店マック・オートス&スペア・パーツ・ガーナが主要部品を輸入して組み立てる。いすゞは4月、新型ピックアップトラックを南アフリカで発表。いすゞモーターズサウスアフリカが生産し、南アフリカ国内で販売するほか、サブサハラ地域34カ国に輸出する。
日産もガーナの首都アクラ近郊に車両組立工場を開設。正規販売代理店のジャパン・モーターズ・トレーディング・カンパニーと提携してピックアップトラック「ナバラ」を生産する。南アフリカ、エジプト、ナイジェリアに次ぐアフリカ4カ所目の拠点となる。6月にナイジェリアでも「ナバラ」の組み立てを始める見通し。
ガーナ政府は海外自動車メーカーに対する優遇措置を設けている。車両組立事業として政府から認可を受けた豊田通商はガーナの組立工場でピックアップトラック「ハイラックス」などを生産する。三菱ふそうは小型トラック「キャンター」や大型トラックを日本などから輸出し、CFAOを通じてタンザニアで販売する。
アフリカ経済はコロナ禍で足踏みしたが、人口増など高い潜在力がある。国連によると人口は50年に現在の約2倍となる25億人まで拡大する予想される。
21年1月には54カ国が署名するアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が開始。タリフライン(関税品目)ベースで5年以内に9割の関税を撤廃することを目指しており、市場の共通化を進める。22年8月には第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が控える。