【2016キーマン】三井住友FG・宮田孝一社長「安全安心だけ求める時代ではない」

フィンテック、自前の巨大なシステムとオープンシステムを両方取り組む

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宮田社長
 ―ITと金融の技術の融合を指す「フィンテック」の波が日本にも押し寄せています。
 「現代人にとって一番の課題は無駄な時間がないことだろう。限られた時間をいかに有効に使うか。金融も(そのニーズに)応えなければならない。店舗を構えていれば顧客が来店してくれると思うのは幻想だ」

 ―利便性と安全性の両立が課題になります。
 「日本の銀行のシステムは外部の脅威をどうブロックするかという観点で自前の巨大なシステムをつくってきた。一方、フィンテックはオープンシステムの議論。オープンの部分と従来型を切り分けるのがフィンテックのテーマになるだろう。どちらかが良いのではなく、両方に取り組まなければいけない時代になった」

 「従来では安全重視で踏み出せなかった部分にも挑まなければいけない。お客さまのニーズが変化して、安全安心だけを銀行に求める時代ではなくなった」

 ―海外戦略ではアジア最重視を打ち出していますが、減速局面にあります。
 「中国のスローダウンに伴う資源国への影響の確認には少し時間を要する。慎重にならなければならない要素があるのは認識している。ただ、中長期で最も成長のポテンシャルがある地域とのストーリーは変えていない。(将来を見据えた出資や提携など)布石は打っている。インドネシア、インド、フィリピンに強い関心がある」

 ―国内の貸出業務は利ざやが稼げない状態が続きます。
 「貸出量を増やして埋め合わせることもあるが、手数料ビジネスなどに力を入れる状況が続く。傘下の三井住友銀行とSMBC日興証券の連携に手応えを感じている。2014年7月に顧客の相互紹介を本格的に始め、日興の預かり資産は15年9月までに7800億円増えた。(米シティグループの個人向け銀行事業を引き継ぎ、富裕層を取り込んだ)SMBC信託銀行を既存の連携にどのように組み込むかが今後のテーマだ」

【記者の目・攻めの戦略どこまで】
 海外では異業種の金融業界への参入者を敵対的に捉えがちだが「協業したり、顧客を紹介し合ったりが必要だ」と語る。すでに三井住友カードがスマートフォン決済事業者の米スクエアに出資、三井住友銀はGMO子会社と決済代行の共同出資会社を設立した。守りに強い金融機関がどこまで攻められるか。「百発百中の世界でないと腹をくくる必要がある」との言葉にフィンテック事業に賭ける強い意志を感じた。
(聞き手=栗下直也)

日刊工業新聞2016年1月6日金融面

COMMENT

栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

「従来では安全重視で踏み出せなかった部分にも挑まなければいけない」という言葉が印象的でした。どこまで跳べるか。

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