【2016を読む】素材各社の設備投資はアグレッシブ!?

鉄は能力増強は抑えるが、先を見越してコストダウンや老朽化対応

  • 0
  • 3
 鉄鋼や化学など素材大手の2016年度設備投資額は、増勢基調またはこれまでの高い水準を維持しそうだ。日刊工業新聞社が4日までに主要12社のトップに取材したところ、投資について積極的な方針を示した。

 鉄鋼大手3社は国内在庫調整の遅れや、中国の輸出攻勢などで足元の事業環境が悪化している。新日鉄住金は「能力増強の投資は抑えめにする」(進藤孝生社長)など、案件ごとに優先順位は見直す方針。ただ、老朽更新などは「できるだけ早く行う」(同)とし、投資総額は大きく変わらない見通しだ。

 JFEスチールも「コストダウンにつながるよう、できるだけ投資を前倒ししたい」(柿木厚司社長)と口をそろえる。神戸製鋼所は、17年秋に加古川製鉄所(兵庫県加古川市)への前工程集約などを控え、投資金額は「16―17年度がピークになる」(川崎博也社長)と想定する。

化学、自動車向けや高機能品


 化学各社も積極的な姿勢が目立つ。自動車軽量化部材やヘルスケア製品に使う高機能化学品などを強化する。三菱ケミカルホールディングス(HD)は、16−20年度の次期中期経営計画で1兆円の設備投資を打ち出した。越智仁社長は「うち5000億円を(自動車軽量化などの)成長事業に振り向ける」と意気込む。

 住友化学は次期中計でM&A(合併・買収)に意欲的だが、「戦う土俵は選ぶ」(十倉雅和社長)といい、情報電子、生命科学、環境の成長3分野に力を注ぐ。三井化学も業績のV字回復で投資余力が出てきたため「安定成長に向けた投資を加速する」(淡輪敏社長)計画だ。

 機能化学では、日立化成が粉末冶金など自動車用部材を中心に「市場の成長性を踏まえ積極投資する」(田中一行社長)方針。積水化学工業はM&Aを含む17―19年度の戦略投資が14―16年度の1000億円を大きく上回る可能性が濃厚だ。高下貞二社長は「20年の売上高と利益を倍増させるにはグローバルでしっかり動かなければかなり難しい」とみる。JSRは四日市工場(三重県四日市市)の研究棟や中国の液晶表示装置(LCD)工場の投資などが中心だ。

繊維は紙おむつ材


 繊維は「15年度計画と比べても16年度の方が設備投資は増えるだろう」(帝人の鈴木純社長)、「中計で進めてきた投資が立ち上がってきた。既存設備の効率化も大事」(東レの日覚昭広社長)といった声が聞かれる。

 一方、製紙では日本製紙がセルロースナノファイバー(CNF)の酸化した表面に金属イオンや金属ナノ粒子を高密度に付着させられる特性に着目。銀イオンにより消臭機能を高めた大人用紙おむつを製品化して既存の実証生産設備に余力がなくなったことから「16年度の量産設備整備を考えている」(馬城文雄社長)とする。

(2016年1月5日 素材・ヘルスケア・環境)

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

汎用品の競争が激化する中、日本企業に問われるのは高付加価値製品へのシフト。そのための投資は不可欠だ。また日本の素材メーカーは設備の老朽化が目立っており、それがトラブルの一因になっているという指摘もある。競争力を高める意味でも、必要な投資をする時期にきている。

関連する記事はこちら

特集