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超大型ダンプ搭載視野、コマツが水素燃料電池1000kw級の実験施設

超大型ダンプ搭載視野、コマツが水素燃料電池1000kw級の実験施設

平塚市の研究所内の16kW燃料電池研究設備

コマツは小山工場(栃木県小山市)内に出力1000キロワット級の水素燃料電池(FC)実験施設を2022年度に設置する計画を明らかにした。現在は神奈川県平塚市内の研究施設に16キロワットの小出力FCを設置し、データ取得の各種実験を行っている。鉱山現場で使う超大型ダンプトラックの場合、少なくとも1000キロワットの出力が必要。29年度のFCダンプ開発に向け、商品化に必要なデータを蓄積する。

FCは水素エンジンとともに、建設機械の将来の動力源候補の一つ。超大型ダンプやショベルは乗用車より重量や振動、駆動パワーが桁違いに大きい。そのため、現時点で動力源についてはリチウムイオン電池よりもFCの方が可能性が高いとみている。

FCダンプの商品開発では、FC特有の制御や出力、負荷などの特性を実機データで確かめる必要がある。FCの製作をコマツが自社で手がけるか、他社と組むかは検討中。車載を想定した検証試験に続き、ダンプにFCを搭載してさまざまな車載テストを進め、商品の完成度を高める。

コマツは水素混焼発電機の開発でデンヨーと技術提携している。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた取り組みの一環でこちらの知見も生かす。

建機業界の電動化や燃料電池の活用を巡り、日立建機と竹内製作所が電動ミニショベルなどを開発している。価格がディーゼルエンジン車に比べて数倍高いことや稼働時間が短い問題があり、関連技術のブレークスルーが期待される。現時点では欧州販売や試験販売が中心だ。


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日刊工業新聞2022年4月12日

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