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大型ショッピングモールが「LPガス災害バルク」を備えた理由

大型ショッピングモールが「LPガス災害バルク」を備えた理由

イオンモール白山の外観。2021年7月にオープンした

地震、大雪、台風、洪水など、近年の日本では激甚災害に見舞われることが多い。災害によって電気や都市ガスなどのインフラがストップすれば、我々の生活は大打撃を受ける。真夏や真冬であれば、暑さや寒さで体調を崩すこともあるだろうし、調理もできず、風呂に入ることもできない。インフラが復旧するまで不自由な生活を強いられることに。そんななか災害時の有効なエネルギー設備として「災害対応型LPガスバルク供給システム」(以下災害バルク)が注目を浴びている。これを導入した大型ショッピングモール「イオンモール白山」を取材した。

地域の防災拠点機能を高めるためにLPガス災害バルクを採用

イオンモール白山は、石川県白山市横江町にある。約200のテナントを擁する北陸最大級のショッピングモールだ。レジに並ばずに買い物ができる「レジゴー」、AIカメラによる接客、さらには北陸のイオンでは初めての「惣菜・弁当のモバイルオーダー」を取り入れるなど、先端的な試みを行っている。さらに災害時の地域の防災拠点機能を高めるために、災害バルクを導入した。

イオンモール白山・ゼネラルマネージャーの小寺和也さんは以下のように語る。

「東日本大震災の時、宮城県のイオンモール石巻に周囲の住民のみなさんが避難してきました。そこで、売り場にある食料や毛布などを配布し、館内で過ごしていただきました。イオンモールはショッピングモールですが、大災害が起これば商売どころではありません。広大な空間を有効活用した地域貢献も使命のひとつです。そこで白山市と話し合い、防災拠点の機能を高めるために、災害バルクを導入し、それらの機能活用も含め、地域の一時避難場所として指定されました」

イオンモール白山駐車場内に設置された災害バルク

“クリーンなエネルギー”LPガスのメリット

災害バルクは、LPガスを備蓄するタンクと供給装置(ガスメーター、調整器、ガス栓など)が一体化。LPガスのメリットを最大限にいかしたシステムだ。LPガスは集団供給型の都市ガスと違い、個別分散型なので、災害時に独自にエネルギー供給ができる。ガスヒートポンプ(GHP)や非常用発電機などと組み合わせることで、ガスはもちろん電気も使用可能だ。災害時のエネルギー供給を安全かつ迅速に行えるので、利用価値が高い。

また、暖房能力が電気に比べると格段に高く、燃焼すると素早く室内が温まる。北陸は寒冷地で冬場はかなり寒いので、これはかなりのアドバンテージだ。

かがやきストリート

そもそもLPガスは気体だが冷却したり圧力をかけたりすると液化し、約250分の1の堆積に圧縮できる。それゆえ、建物の敷地内に備蓄がしやすく輸送コストも少なく済む。また、品質劣化しづらく長期保存も可能。さらに化石燃料の中では、CO2の排出量も比較的低いと環境面でも優れている。

災害バルクに近い場所に設置されたLPガス非常用発電機

「イオンモール白山の中では、一階かがやきストリートと、三階フードコートにGHPを設置しました。激甚災害が起きた際には、この2つの場所が避難場所になって、1000人ほど収容できます。駐車場にある災害バルクのタンクにLP ガスを常時備蓄。停電になった場合は、GHP用の発電機が起動して、備蓄量がたとえ50%だとしても72時間以上空調環境を維持できます」と前述の小寺さん。ちなみに上記の2か所以外は電気式ヒートポンプ(EHP)を設置しており、電気とLPガスのハイブリッド状態にしていることが重要だとも語る。電気またはLPガスのどちらか一つだけを選択するより、いざという場合のリスク管理ができるからだ。

GHPの室外機

災害が少ないエリアこそ、緊急時のエネルギーの確保をすべき

さらに、小寺さんは、災害時には、食料確保よりも水の補給と温度管理が人命を左右すると強調する。だからこそ、停電時でも空調が通常と同様に72時間以上稼働する災害バルクの価値は高い。

もともと白山市は地震が少なく、台風や水害の影響も受けにくいエリア。しかし地震がほとんどないと信じられていた関西地方で阪神淡路大震災が起こり、“晴れの国”の異名がある岡山県でも2018年に豪雨災害が起こった。白山市も例外ではない。活火山である白山があり、以前よく氾濫を起こした手取川が近くを流れている。むしろ災害が少ないという気の緩みが二次災害を起こすことにも。

日本国内のどこにいても災害とは無縁ではいられない。

備えあれば憂いなし。災害バルクはそれを具現化するシステムと言えそうだ。

災害バルクについて説明をしてくださった小寺和也さん(左)、オペレーションマネージャーの堤健一さん(中)、オペレーション担当の松尾有希さん(右)
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LPガス ガスヒートポンプ(GHP)のご紹介
https://j-lpgas.gr.jp/ghp_sp/index.html

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