パワー半導体材料のコスト抑える、新しい酸化ガリウム結晶成長法の仕組み
東北大など開発
東北大学の吉川彰教授と東北大発ベンチャーのC&A(仙台市青葉区、鎌田圭社長)は、イリジウムるつぼを使わない酸化ガリウムの結晶成長法を開発した。高周波加熱で原料を融解させて直径5センチメートル、厚さ5ミリメートルのインゴットを製作した。不純物や欠陥の少ない酸化ガリウム単結晶をコストを抑えて製造できるようになる。パワー半導体用に提案していく。
酸化ガリウム原料を水冷装置の中で高周波加熱する。融解した酸化ガリウムは水冷装置で急冷され外側は酸化ガリウムの結晶ができる。これをるつぼの代わりとして利用する。従来は高価なイリジウムを用いるため、高コストだった。
融解した酸化ガリウムは高周波加熱で昇温でき、高周波が届く深さを制御できる。ドーナツ状に加熱し最外層は固体だが、中は融解液、中央は温度が下がり固体になる温度分布を作った。融解液から単結晶を吊り上げる引き上げ法を実現した。
パワー半導体材料は結晶成長がコストを押し上げており普及を妨げている。融液成長でインゴットを生産できるとコストを抑えられる。
日刊工業新聞2022年4月7日