次世代原子炉「SMR」プロ本格化、主要プレーヤーになる日本企業の名前
次世代原子炉として注目を集める小型モジュール原子炉(SMR)をめぐり、日本企業の参画するプロジェクトが本格化する。日揮ホールディングス(HD)とIHIは出資先の米ニュースケール・パワーが開発中のSMR参入に向けて人材を派遣する。米GE日立ニュークリア・エナジーは新たにスウェーデンのクリーンテック新興企業のシャンフル・フューチャーグループとSMR「BWRX―300」導入に向けた協力で合意した。日本企業が国際連携プロジェクトの主要プレーヤーとして台頭する公算が大きくなってきた。
ニュースケールのSMR初号機は、米ユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)が2029年に米アイダホ州で運転開始を計画する。日揮HDとIHIは21年にニュースケールに出資した。
日揮HDは22年内に海外の設計・調達・建設(EPC)事業子会社の日揮グローバルからエンジニア十数人をニュースケールの大株主で米大手エンジニアリング会社のフルアに派遣する。フルアとは液化天然ガス(LNG)プラントのEPCで協業してきた。SMRでは地域ですみ分け、中東やアジアでEPC受注を目指す。
IHIは1日付で営業人員1人を派遣した。SMR初号機の最大12基の一体型パワーモジュール構成機器受注を目指す。現地に駐在し、情報を共有する。IHIは格納容器、圧力容器などの原子力発電用機器が得意だが、国内では原発の新増設や建て替えが見込めない。SMRの受注により、人材や技術の継承を図る。
日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の原子力合弁会社GE日立ニュークリア・エナジーの「BWRX―300」は、21年12月にカナダ電力事業者のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)が28年完成を目指すプロジェクトに選定された。
新たにシャンフル・フューチャーグループと協力合意した。シャンフルはサプライヤーと話し合いながら人材採用を進め、建設地探しなどを続ける。
世界的な燃料価格高騰や電力供給不安で、原発再評価の機運が高まっている。SMRはモジュール単位で出力を調整でき、発電量が気象条件次第の再生可能エネルギーとの調整役など次世代原発として期待される。