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<矢島里佳の新聞clip1.4号>法律がなくとも想像力を働かそう

4月1日施行の障がい者差別解消法。当たり前のようにお互い尊重し合う社会に
 みなさん、明けましておめでとうございます。矢島里佳です。2016年もどうぞよろしくお願いいたします。

 1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 2015年最後のニュースに選んだのはこの3本です。

●損保ジャパン、BCP地震補償保険(料金改定で中小入りやすく=12月28日付)
●災害時の安否確認手段、7割が未確立(東商調べ=12月28日付)
●ティッシュで字消しできる!(ノート型の筆談ボード=12月30日付)


 2016年4月1日に施行される障がい者差別解消法を視野に入れて開発されたボード。よく考えれば、そもそもこのような法律がなくとも、もっと想像力を働かせれば、多くのことに気がつけるはず。当たり前のように互いに尊重し合うことができる社会にしていきたいですね。

欧文印刷が対面業務向け提案


 欧文印刷(東京都文京区、和田美佐雄社長、03・3817・5910)は、耳や言葉の不自由な人とのコミュニケーションツールとなるノート型の筆談ボードを発売する。独自開発したニスをボード上に印刷してあり、ホワイトボードマーカーで書いたり消したりできる。消費税抜き価格はA4判サイズで1冊1980円。行政・金融機関や郵便局、百貨店など向けに、年間5万冊の販売を目指す。

 2016年4月1日に施行される障害者差別解消法を視野に入れ、08年に独自開発したニスをホワイトボード上に印刷する特許技術「ケセルシ印刷」を活用して開発した。ホワイトボードに比べて低コストで軽く、置き場所に困らない。クレヨンで描いてもティッシュで簡単に字が消せるなど、何度も繰り返し使えて環境に優しい。A1判などに大きさを変更することが可能。

 例えば金融機関向けには「住所変更届けを出したい」など、指で指して対面者にすぐに理解してもらえるよう業務内容が書かれた「指さしシート」やクリアシートを付けて展開するなど、業種ごとに内容を変える。

 外国語バージョンの販売も予定。現在、郵便局や区役所など行政、金融機関向けに提案中で、和田社長は「対面が不可欠な業務で活躍する」と言う。

 障害者差別解消法は、健常者と障がい者との間で障害を理由とする差別を禁止する法律で、社会的に障がい者への対応の強化やそのための新たな需要拡大が予想されている。
矢島里佳
矢島里佳 Yajima Rika 和える 代表
 地震補償保険の記事。自然災害が多い日本において、個人だけでなく企業としても、地震が起きた時のために、どのような対策を講じておくかも、重要なリスク管理ですね。地震保険がだいぶ広まり、保証の拡充や、保険料なども見直され、少しずつ一般化し始めているように感じました。  安否確認についての記事。災害時の非常食や飲料、従業員の緊急連絡先などは準備をしていましたが、従業員の家族の安否確認までは、まだ手が回っていませんでした。家族の安否もあって初めて、従業員も安心して働くことができますね。新年はまず、こういった非常時に備えた対策への取り組みを改めて見直したいと思いました。  

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