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「ゼロカーボンロマンスカー」運行、CO2排出ゼロへ小田急電鉄の本気度

「ゼロカーボンロマンスカー」運行、CO2排出ゼロへ小田急電鉄の本気度

座席定員制で運行する「芦ノ湖ライナー」。コロナ禍でも観光客が安全で快適に移動できるようにしている(小田急電鉄提供)

小田急電鉄は2050年に二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指した行動指針「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定している。中間目標として30年に13年比46%の削減を設定。環境にやさしい公共交通へのシフトなどのテーマを掲げた。鉄道事業では省エネ車両への更新など、環境に配慮した車両導入を進める。こうした環境への取り組みと合わせ、コロナ禍で減少した観光客の誘致にも力を入れる。

行動指針の第1弾の取り組みとして、21年10月から22年2月末までロマンスカー・VSEを「ゼロカーボンロマンスカー」として運行。新宿―箱根間を結ぶVSEの使用電力を再生可能エネルギー由来の電力(非化石証書付き)に置き換え、期間中のCO2排出量実質ゼロにつなげる。カーボンオフセット(相殺)により実質的に1566トンのCO2排出量削減に寄与する。通常家庭約560世帯の1年分に相当する。

21年秋から座席定員制バスの実証実験も始めた。コロナ禍でも観光客が安全で快適に移動できるようにしつつ、観光地である箱根エリア道路混雑の緩和を期待する。箱根登山バス(神奈川県小田原市)が貸し切りタイプの車両を使用し、箱根登山電車の小田原駅・箱根湯本駅―元箱根港間を座席定員制のバス「芦ノ湖ライナー」を運行している。元箱根港は箱根神社にほど近く、箱根海賊船のターミナルでもある。

小田急電鉄の藤垣洋平経営戦略部次世代モビリティチームMaaSエコシステムマネジャーは「スムーズに座っていける点をアピールしながら(バスの利用を通じて)道路混雑の緩和にもつなげていきたい」と期待する。

コロナ禍で落ち込んだ箱根エリアへの観光客誘致にも力を入れる。小田急箱根グループとして取り組む観光情報サイト「箱根ナビ」を刷新。各種デジタルチケットをブラウザー上で購入できるようにするなど利便性を高めた。小田急電鉄の大橋健次経営戦略部課長代理は、コロナ収束後のインバウンド(訪日外国人)需要の回復を見据え「多言語版『箱根ナビ』のリニューアルも計画している」と説明する。

日刊工業新聞2022年2月8日

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