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ニッパツ社長・茅本隆司氏/バネ屋の矜持、自動化で貫く

虎視 勝ち筋探る車部品#15

―駆動モーター部品「モーターコア」に注力してます。
 「モーターコアの生産は自動化が進んでおり、省人化に適している。(事業拡大に向けて)設備や金型を保守する人材と設備投資力が必要になるが、当社は可能だ」

―日本や中国、メキシコで生産しています。今後、欧州拠点でも生産する考えは。
 「いつでもニーズがあれば対応できる。しかし受注量がある程度まとまらないと、設備投資するのは難しい。少量であれば他拠点から運ぶ方が良い」

―既存事業では、国内でトラック懸架用板バネの工場に新規投資しました。
 「『バネ屋の矜恃』だ。日本で作る良い板バネを高コストにならないように生産したかった。今回の投資でほとんど自動で生産できる。板バネの厚みを変えるのも自動でできるし、電動化などで求められるバネの軽量化にもつながる。今後20年は良いバネを供給できる」

―車分野以外ではデータセンター向けHDD(ハードディスクドライブ)用サスペンションの需要が旺盛です。
 「設計開発技術と生産技術を含めて強い。HDDは今後もいろいろな方式が出てくる。データ容量も増え続けており、当分は成長産業だと見られる。2021年度でも予定より前倒しして5―6の生産ラインを整備した。そう遠くない時期に国内やタイで大きな投資が必要になるだろう」

【記者の目/生産増強・コスト競争力】
 ニッパツは車分野ではモーターコアや、金属基板の工場で生産能力の増強を進める。電動化・電装化で成長領域であるだけに競争の激化が予想される。そこで工場自動化にも力を入れ生産効率化を図る。技術力はもちろん、生産増強とコスト競争力という両輪を滞りなく回していけるかが、勝ち抜くためのポイントだ。(日下宗大)

日刊工業新聞2022年3月1日

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