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エフテック社長・福田祐一氏/新機種立ち上げ 安定化

虎視 勝ち筋探る車部品#12

―半導体不足やコロナ禍などで厳しい事業環境が続きます。
 「あらゆるコストが上昇する中、以前より早めに動くことが必要になっている。拠点間で顧客の生産状況をよりきめ細かく共有している。自動車自体のニーズはある。顧客の生産が安定した時に備え人員を確保し、品質や効率向上に関する教育に取り組む」

―2022年度は中期経営計画の最終年度です。
 「20年度、21年度と計画値と乖離(かいり)した状況が続いている。現状はまだ向かい風に耐え忍ぶ状況。まず新機種の案件を安定して立ち上げていく。23年度以降にはコロナ禍以前の水準を超える利益を上げられるよう、基盤を作る」

―電気自動車(EV)ビジネスへのシフトを進めています。
 「現在のEV関連製品の売上高は全体の5%程度だが、数年内に10%に高めたい。EV市場が成長している中国においても、営業や開発の部門が一体となってニーズをくみ取り提案をしていく。(同じホンダ系サプライヤーの)エイチワンともお互いの技術を持ち寄り、EV向けの部品開発に共同で取り組んでいる」

―北米事業の体質強化が課題です。
 「まだロスが多い。現場力を上げて利益体質を強化し、黒字化につなげる。他地域の取り組みも横展開する。良い意味でグループ間の競争を促すことで、意識の変化にもつながるのではないか」

【記者の目/次の飛躍へ 布石着々と】
 新市場に位置付けるインドでは現地企業と合弁会社を設立し、スズキを主な販路に見込み量産の準備を進めている。苦戦している北米事業においても、EVなどの足回り部品の新規受注に対応し、22年度中にメキシコで生産能力を増強する方針だ。事業環境は厳しい中、次の飛躍に向けた布石を着々と打っている。(江上佑美子)

日刊工業新聞2022年2月22日

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