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テイ・エステック社長の保田真成氏/外部連携で車内空間進化

虎視 勝ち筋探る車部品#11

―サプライチェーン(供給網)の見直しが課題です。
 「米州で合弁会社を設け(シートを覆う)トリムカバーの供給拠点を増やしたのはその一例。増産によってホンダ以外への販売も増やすことができる。外部環境の変化に慌てて対応しているのではなく、抱えていた課題を地味に整理している」

―主要取引先のホンダは部品メーカーに2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成を求めています。
 「10年以上前から真面目に取り組んできたテーマ。計画通りに進めれば当社はクリアできる。増築中の米国・インディアナ州のシート工場においては、ソーラーパネル設置などで二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを達成見込みだ」

―持続可能な社会の実現に向けた「2030年目標」を策定しました。
 「軽量化など地球環境の改善や社会貢献につながる“革新技術”の研究開発比率を高めたい。女性や高齢者らを活用し、多様性を生かした職場づくりを目指す。人工知能(AI)やエレクトロニクスの知見を持つ人材の中途採用も進める」

―車両電動化の流れが速くなっています。
 「車室空間のコーディネートに力を入れる。例えば電気自動車(EV)では、冬場に暖房の電力消費を抑えつつ乗っている人が寒いと感じない空間が求められる。シートだけでは難しいので、他社と組む」

【記者の目/生き残り策の成果注目】
 ホンダの生産計画に浮き沈みが左右される厳しい状況下、同社以外の車メーカーとの取引拡大は引き続き重要なテーマ。一方、生産体制の再編など「守り」の手も緩めない。また「次世代の車室内空間」開発に向け、異業種との連携にも積極的に取り組む。あの手この手の生き残り策から22年はどんな成果が上がるか注目される。(江上佑美子)

日刊工業新聞2022年2月21日

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