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ヨロズ社長・平中勉氏/部品の大幅軽量化必要

虎視 勝ち筋探る車部品#10

―新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いています。
 「変異株への対応などを踏まえると予想がつかない。半導体需給の逼迫(ひっぱく)は自動車業界だけの問題ではなく、簡単に解消するとは思えない。脱炭素への取り組みもここ2年で加速した。過去と比較しても最大級の変革期に入っている。業績が思うように上がらず暗くなりがちだが、従業員が明るく前を向いて活動できるよう引っ張るのが役割だ」

―完成車メーカーが電気自動車(EV)など電動車への対応を加速しています。
 「国や地域で差はあるが、2030―40年には電動車に一気に変わるだろう。EVでも主力のサスペンションの機能は残るが、構造はガラッと変わるはずだ。電池の搭載で車両重量が増えるため、当社の部品には、半端ではない軽量化対応が求められる。車の製造から廃棄まで『ライフサイクル』全体で脱炭素に貢献できる部品の開発に注力する」

―EVを中心に異業種や新興企業の参入が相次いでいます。対応は。
 「車は人の命を乗せて走っている。100年の歴史がある完成車メーカーが培った安全性や耐久性の知見が、参入企業と同じ水準であるはずはないと強く思っている。当社としては、既存の車メーカーの次世代車開発に真摯(しんし)に向き合っていく。当社が培ったノウハウを全部ぶつけ、共に優れた電動車をつくっていきたい」

【記者の目/供給網全体で脱炭素】
 ヨロズは、足回り部品の開発で製造から使用までの二酸化炭素(CO2)排出量を評価する手法を導入した。ライフサイクルで脱炭素への貢献を示せるこの取り組みに対する車各社の関心は高いようだ。ヨロズと調達先の素材メーカーとの連携はより深く、スピードも速まっているという。供給網全体で脱炭素を加速し競争力を高める。(西沢亮)

日刊工業新聞2022年2月17日

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