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愛知製鋼社長・藤岡高広氏/「脱炭素」技術開発急ぐ

虎視 勝ち筋探る車部品#06

―コロナ禍が落ち着けば完成車メーカーが挽回生産に乗り出します。対応は。
 「足元の人員、設備は問題ない。供給責任を果たす。中長期的では(出資する)インドのバルドマンスペシャルスチールを生かし体制をより強靱化する」

―トヨタ自動車が2030年の電気自動車(EV)の販売台数目標を350万台に引き上げました。
 「EVになると従来の特殊鋼は減る。一方、(電動駆動モジュール)『eアクスル』向け動力の伝達部品『アウトプットシャフト』の生産を始めた。こうした電動化対応の新製品で既存製品の減少分をカバーする」

―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応で力を入れる点は。
 「組織を整備し、目標も決めた。先行的に取り組む刈谷工場(愛知県刈谷市)では(エネルギー源を)重油から天然ガスに変えるほか、水素バーナーといった技術開発などに取り組む。関工場(岐阜県関市)でも太陽光発電設備を整備する」

―中期経営計画で23年度に営業利益150億円(21年度見通しは40億円)が目標です。
 「実力は付いてきた。ただ21年度で言えば鉄スクラップ価格の高騰などで(前年度比)380億円の減益影響がある。価格転嫁まで時間がかかるなど課題があり、利益を取りきれていない。その期間を短くするなど顧客との交渉が実れば、目標達成が視野に入る」

【記者の目/具体的な成果出せるか】
 電動化やカーボンニュートラルと言った大きな事業環境の変化に対し、愛知製鋼はこれまで二酸化炭素(CO2)削減目標の設定、電動アクスルの開発などの計画を打ち出してきた。今後はいかに具体的な成果を見せられるかが重要だ。鉄スクラップ価格の高騰など逆風が吹く中で実行力を示せるか。底力が試される。(名古屋・山岸渉)

日刊工業新聞2022年2月7日

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