ジェイテクト社長・佐藤和弘氏/ブランド統一、技術共有化
―事業ブランドを4月から「JTEKT」に統一します。
「自動車部品や軸受、工作機械といった事業間の相乗効果が進んでいないのは、昔からのブランド名を残していた影響もある。ブランドを統一することで従業員が『ワン・ジェイテクト』になる」
―事業間の連携で期待する点は。
「工作機械の技術を軸受工場などのスマートファクトリー化に生かせるだろう。各事業の技術を(事業間で)知らないことが課題だった。(ブランドを統一することで)まずお互いのノウハウを知り、相乗効果につなげる」
―2020年12月には愛知県刈谷市に本社機能を移転しました。デンソーなど同じ刈谷市に本社を置くトヨタグループとの連携にはどう取り組みますか。
「製品面で協業するプロジェクトがあるなど、さまざまなことで声がかかるようになってきた」
―トヨタ自動車が電気自動車(EV)の販売目標を引き上げるなど電動化が進む中で対応は。
「EV化が進めば、軸受の点数が減る。工作機械も研削盤がエンジン部品で多く使われているのでマイナスだ。対応として(ハンドル操作を電気信号でタイヤに伝える)『ステアバイワイヤ』のステアリングなど電動化に適合する分野に取り組む。トヨタからはEV電池の製造設備を受注しており、しっかりと設備を供給する。マイナスはあるが、新しい分野を伸ばしていかなくてはいけない」
―半導体不足や原材料価格の高騰が続いています。
「半導体不足は22年度の上半期までは続くだろう。原材料費の高騰は22年度も続くとみている。米国の港が混雑し(輸送手段を)飛行機にせざる得なくコストも増えている。ただ、さまざまなことが起きても利益が出せる体質にしなくてはならない。原価低減で対応するしかない。自動検査による省人化などで原価低減を図る」
―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)にはどう取り組みますか。
「グループで40年に達成する目標を35年に5年前倒せないか検討を始めた。刈谷工場(愛知県刈谷市)と花園工場(同岡崎市)でさまざまな実証実験に取り組む」
【記者の目/全社の経営資源、フル活用】
ジェイテクトはリボーン(競争力の再構築)と呼ぶ改革を推進し、事業体質の改善など成果を残してきた。さらに4月からの事業ブランドの統一で事業間の連携を促す。自動車業界は変革期を迎え、環境変化は激しい。全社の経営資源をフル活用することが欠かせない。(名古屋・山岸渉)