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大同メタル工業会長兼CEO・判治誠吾氏/EV駆動領域で新製品

―自動車の減産が目立ちます。2023年度を最終とする中期経営計画への影響は。
 「計画線上にあり、数字を変えることはしない。車生産は秋以降に本格的に正常化するのではないか。コンテナ船の不足を受け、22―23年は新造船向けの受注も大きく伸びている。大型船向けの軸受シェアは70%程度になると見ている」

―22年度の営業利益率は21年度予想比1・5ポイント増の6・4%と高い目標です。
 「利益目標を達成できる受注は十分ある。生産負荷の増加や航空便による物流コストの増加といった課題の解決で、達成を目指す」

―電気自動車(EV)向けアルミダイカスト事業の状況は。
 「複数の自動車メーカー向けに、パワーコントロールユニット(PCU)やモーターのカバー用の受注が非常に忙しい状況になってきつつある。その他にもEVの駆動領域を対象に、新規製品の開発を進めている」

―事業変革が課題です。
 「10年後、30年後を視野に長期ビジョンを策定する予定だ。EV化の加速でエンジン用軸受需要が減っていく中、大きく転換せねばならない。生産、開発、営業、全部門から意見や知見を集約する。環境対応も大きなテーマになる」

―脱炭素化対策は。
 「省エネと脱炭素に貢献する製品の両方で脱炭素化を目指す。具体的な目標値や取り組みは、22年度上期中に取りまとめたい」

【記者の目/事業拡大・合理化 不可欠】
 6カ年計画の後半期が始まった。米カミンズからの受注拡大や、風力発電用軸受の事業化が大詰めを迎えるなど、成長に向けた仕込みは着々と進んでいる。21年度は自動車減産を受けたが、目標を超える営業利益率を予想する。次世代に向けた投資余力を確保するためには事業拡大と合理化が欠かせない。(名古屋・政年佐貴恵)

日刊工業新聞2022年3月8日

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