ダイキョーニシカワ社長・内田成明氏/電動化、MBD活用カギ
虎視 勝ち筋探る車部品#19
―自動車メーカーの減産が続いています。 「自動車の生産台数の急激な変動やコロナ禍の影響などで、ここ1、2年は数字的には厳しいが、従来からの計画に変更はない。2021年度は、米国の新工場の準備費用として49億円を計上したところに、自動車の減産が重なった。数社の製品を混流生産しているため、避けがたいロスが生じ利益を圧迫した。いかにロスを最小化するかが課題だ」
―解決に向けた具体的な取り組みは。 「生産数や種類に応じ、生産ラインを柔軟に編成した。例えば、塗装ラインでは、塗装法や治具の改善、社員の技能の平準化を進めた。従来より短時間で多くの部品の塗装を可能にした」
―自動車の電動化への対応状況は。 「金属製に比べ、軽量で自由度の高い樹脂製パイプは、モーターや電池の冷却用として販売が順調だ。またマツダと進める自動車開発手法『モデルベース開発(MBD)』の活用がカギになる。これまでの取り組みで金型の精度を高められた。さらに適用範囲を広げたい」
―中期経営計画では23年度に売上高1500億円が目標です。 「電動化の技術開発を加速し、外部環境の変化や自動車メーカーの動向に迅速に対応する。材料から形状、製造法、物流まで徹底して見直し、省エネルギー化や生産効率化をより一層図る。目標達成にはもう一歩努力が要るが、やり切りたい」
【記者の目/効率化で巻き返し】 自動車メーカーの減産などにより、足元の経営状況は厳しい。内田成明社長は、さらなる生産効率化や省エネ化を掲げるが、効果を上げるには今まで以上の努力が求められる。一方、樹脂製パイプは電池などの冷却用として順調に伸びているほか、米国の新工場が来期立ち上がるなど前向きな動きもある。巻き返しに期待する。(広島・青木俊次)
日刊工業新聞2022年3月11日