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東京ラヂエーター製造社長・落合久男氏/電動自動車向け熱交換器軸に

―2021年度から5年間の中期経営計画を策定しました。
 「当社として初めて中計を公表した。『製品』『グローバル』『成長』『スマートファクトリー』『人財』の五つの戦略を出した」

―足元では部品供給不足などによる自動車の減産が相次ぎ、事業環境は厳しいです。
 「堪えどころだ。ただ非常に良いタイミング(21年5月)で中計を発表できたと思う。このような外部環境だからこそ、五つの戦略を着実に実行すれば、回復期に競争力を保てるからだ」

―熱交換器では電動車向け製品の開発に力を入れます。
 「中計では23年度に試作品の納入、25年度に量産品の投入となっている。ただ計画を前倒ししたいと考えている。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)でどういった要求があるのかを見極めて対応したいし、的確な提案ができるかが重要になる」

―海外事業の拡大も進めます。
 「海外生産拠点で最適な稼働体制を構築する。事業継続計画(BCP)の確立も併せて進める。さらに拡販動向や主要顧客の動きを見ながら、新市場に進出するかどうかの判断もしたい」

―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応は。
 「生産に関わる二酸化炭素(CO2)排出量を18年度比で25年度には20%減、30年度には35%減を目指す」

【記者の目/マレリの株売却有無 注目】
 東京ラヂエーター製造の株式の4割を握るマレリ(さいたま市北区)が、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請した。現状では東京ラヂの事業活動に影響はないようだが、経営環境が大きく変化していくのは間違いない。マレリが東京ラヂ株を売却するのかどうかも注目される。(日下宗大)

日刊工業新聞2022年3月17日

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