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愛三工業社長・野村得之氏/燃料ポンプ、収益力向上

虎視 勝ち筋探る車部品#18

―半導体不足などで自動車生産の変動が大きい状況が続いています。
 「4月以降の生産見通しも半導体不足などで不透明だ。当社としては小さく構えて柔軟に対応できるようにしていきたい」

―デンソーから燃料ポンプ事業を買収します。
 「トヨタ自動車グループとしてコストや品質で競争力を出すのが狙いだ。当社の燃料ポンプの世界シェアは、デンソーの分を合わせると世界トップ級の4割になる。さまざまな改善活動に取り組んでおり、人員は譲り受けずに設備だけ譲り受けることで収益力を上げる。30年以降も燃料ポンプの需要が全くなくなるわけではない」

―電動化対応にはどう取り組みますか。
 「世の中の論調は電気自動車(EV)一本化が多いが、もっと冷静にならなくてはいけない。電動化は進むが、地域別にみると需要はEVだけではない。当社は電池のセル(単電池)ケースと、DC/DCコンバーター(電圧変換器)の開発に取り組む。今後、試作をして性能をみながら改良したい」

―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への対応は。
 「生産の二酸化炭素(CO2)排出量削減については、30年までに13年比半減という新たな目標を設定した。厳しい目標なので、生産工程をより一層細かく見て何が課題なのかを洗い出す活動に力を入れている」

【記者の目/電動化対応製品と両輪で】
 愛三工業にとって自動車業界の新潮流を乗り越えるために重要な取り組みが二つある。デンソーから買収した燃料ポンプ事業を生かすなど既存事業の強化と、具体的な二つの製品で示した電動化対応製品の開発だ。既存事業で稼いだ収益を活用し、次世代を担う製品のスムーズな実用化といった好循環ができれば理想的だ。(名古屋・山岸渉)

日刊工業新聞2022年3月10日

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