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パイオニア社長・矢原史朗氏/サービス分野でM&A

虎視 勝ち筋探る車部品#16

―外部人材の採用を進めています。
 「(データを活用した)ソリューションサービス事業を拡充する上では、ソフトウエアエンジニアらの開発力、技術力が欠かせない。M&A(合併・買収)も積極化したい。従来のパイオニアは自前主義だったが、サービス事業を進めるには時間がかかりすぎる」

―社長自身も外部から就任して2年超、手応えは。
 「組織作りや提携など、狙ったことを着実に進めてきた。計画からは大きく離れておらず、人材採用などは加速した」

―新事業として、カーナビケーション、ドライブレコーダーの機能を有し音声のみで操作、案内する車載機器を発売しました。
 「人工知能(AI)プラットフォーム(基盤)『パイオマティクス』を開発し可能になった。パイオマティクスは音声以外にも活用できるが、今回は『音声でこんなことができる』という新しい体験を紹介している」

―従来型のカーナビ、ドラレコ事業の方向性は。
 「現時点では大きな売り上げを生む事業。ただ優先順位はサービス事業の方が高い。従来は『画面が大きくなる』といった差別化をしていたが、今後はコンテンツやサービスで勝負する。パイオマティクスの要素も搭載しながら、他社にない価値を持つ製品を出していく」

*取材はオンラインで実施。写真はパイオニア提供 

【記者の目/モノづくりの知見が武器】
 矢原史朗社長はソリューションサービス企業への変革を推進してきた。データビジネスは競争が激しい領域だが、培ってきたモノづくりの知見を生かし差別化する構えだ。生産に関しても効率化などを着実に進める。経営再建から成長投資のステージに進んだとの認識のもと、モノとコトの両面で競争力向上を図る方針だ。(江上佑美子)

日刊工業新聞2022年3月3日

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