中国の昇降機が曲がり角

偏重脱却し、インド市場へ展開急げ

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日立製作所はムンバイの高級住宅向けエレベーターを受注
 中国の昇降機市場が曲がり角を迎えている。世界の総需要の6割を占める市場だが、近年は不動産投資が停滞し、需要が減少している。日本の昇降機メーカーの受注も鈍化し、業績への影響が出始めた。中国政府は政策的に不動産投資を抑制しており、再び高成長に戻る要素は少ない。日本メーカー各社は中国偏重からの脱却を視野に、世界2位の市場を持つインドへの展開を急ぐ必要がある。

 三菱電機によると、昇降機の中国市場は2020年度に15年度比2割増の74万台になるという。中国が最大市場である点は今後も不変だが、インド市場の成長率5割増と比べると成熟感が漂う。現在、中国では少ない案件を大手各社が奪い合う状況になっており、価格競争も始まっている。

 特に、中国でシェアトップの座を争う三菱電機と日立製作所にとっては憂慮すべき事態だ。三菱電機は昇降機を含むビル事業で、15年4―9月期の受注が前年同月に比べて10%減少した。日立も「昇降機の受注が減っている」(経営幹部)としており、15年度下期の業績への影響も示唆する。

 旺盛な不動産投資に伴う恩恵を享受し、成長をけん引する事業として貢献してきただけに、今後は業績の下押しリスクが危惧される。今までの高い収益力を維持・拡大するには、中国に依存した戦略を見直すことが不可欠だ。

 その解の一つがインド市場だろう。中国経済の影響が少ない同国では高成長が続いており、デリーやムンバイなど大都市圏では高層ビルの建設が相次ぐ。中・高級機種に強い日本勢にとって開拓できる余地は大きい。

 すでに三菱電機は16年にインドで初の昇降機工場を建設・稼働することを決めたほか、日立も現地生産を模索している。ただ同国ではフィンランドのコネや米オーチスなど海外勢が市場を分け合っており、巻き返すのは容易ではない。

 現地企業を買収して販売網や保守要員を確保したり、開発部隊を設置してインド独特の仕様やデザインに対応したりする手法が有効だろう。インド市場の拡大に備えて積極的な投資を急ぐべきだ。

日刊工業新聞2015年12月9日 社説

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加藤正史
論説委員会
論説委員

エレベーターは、その国の経済発展の先行指標的な意味合いがあります。都市部にビルが建ち始めると、一気に伸びます。

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