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今年は企業版も創設 『ふるさと納税』人気は続く

好きな「お礼の品」目当てでも構わない
今年は企業版も創設 『ふるさと納税』人気は続く

総務省の啓発ポスター

 昨年、ブレイクしたもののひとつが『ふるさと納税』だろう。2015年度から寄付額の上限が2倍になったことがきっかけだった。

 知人に勧められたものの、最初は東京育ちの悲しさで適当な寄付先を思いつかない。ネットに情報を求めると、民間のポータルサイトがいくつもあり、寄付に対する「お礼の品」を比較できる。魅力的な商品写真を並べ、カードで即時決済して配達時期を指定できる熱心な自治体がある一方、残念ながら意欲を感じないところも少なくない。通販と一緒で、結果にはずいぶん差が出ているという。

 20年来、季節になると取り寄せている加工食品が、ある町の目玉になっていた。しかし常連客が、これをお礼の品でもらってしまうと現地業者の売り上げは増えないことになる。

 消費者が日常購買するものを『ふるさと納税』のお礼として受け取り、その分の消費を抑制したら経済にはあまりプラスにならない。さらにいえば、お礼の財源は税金だ。住民税の一部を居住地以外に振り向けるのだから、寄付先からもらう品は還付の一種。高価な礼ほど人気だが、マクロでみた税収は減る。

 昨年は、名も知らぬ町や村にささやかな寄付をして、それぞれの銘菓を送って頂いた。いつか行くかもしれぬ旅の、土産の先取りといった気分。こんな『さすらい納税』も悪くはない。

 ただ総務省では、東京一極集中の地方税が少しでも地方に回ることに大きな意味を見出しているようだ。財務省も「ふるさと納税は成功」という評価だ。

 政府・与党は2016年度の税制改正大綱に、企業版のふるさと納税「地方創生応援税制」創設を盛り込んだ。通常国会で関連法案が成立すれば、新年度からスタートする。

 個人の場合、12月で昨年分の寄付枠がリセットされ、新たなスタートを切った。難しい理屈抜きで、好きな「お礼の品」目当てで挑戦してみてはいかが。
ニュースイッチ オリジナル
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
自治体の取り組みを見ると、地域によって大きな差があります。特に熱心なのは九州地方の自治体です。

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