宮城・福島地震に素早く対応した東北大の強さ
東北大学は16日深夜、宮城・福島で最大震度6強を観測した地震で、実験施設の漏水や冷却水の停止など施設・設備で被害を受けた。また揺れによる図書館や研究室の書籍の落下は目立つが、電気系統の問題は少ないという。リアルとオンラインを併用した災害対策本部会議など、11年前の東日本大震災の経験も踏まえた迅速な体制整備で、復旧に取り組んでいる。
東北大は8500平方メートルを超える半導体技術関係のクリーンルームなど、高度で先端的な設備が多い。スピントロニクスやマイクロマシンなど、企業から資金を日常的に得ている産学連携活動も多い。設備と同時にサービスを復旧させる段取りをつけつつある。
一方、デジタル変革(DX)は国立大学の中でも先進で、地震発生後ただちに安否確認システムを配信。リアルとオンラインのハイブリッドで災害対策本部会議を開いた。発生から約2時間後にはウェブサイトで緊急情報を日・英で表示、短文投稿サイト「ツイッター」も活用した。
業務システムは一部、大学独自でサーバーを整備するもので設備被害があり、停止の障害があった。しかし大学の業務システムの多くをクラウド化しており、問題は予想以上に少ないという。
キャンパス内の建物に対しては、本部の施設部が応急危険度判定にあたっている。DXで作業を支援する取り組みも動きだした。
日刊工業新聞2022年3月21日