これだけは抑えておきたい2016年の経済・産業イベント
**マイナンバー制度、3分野での使用開始
社会保障・税番号(マイナンバー)制度がいよいよ年明けから本格運用に入る。まずは社会保障、税、災害対策の3分野での限定使用となるが、3年後には制度の利用範囲が広がる予定。社会全体に大きな変革をもたらすことになる。
マイナンバー制度は住民票を持つすべての人に12ケタの番号を割り振る。番号を記載した「通知カード」の配達は10月に始まっているが、受取人不在などの場合、市区町村に返送される。
日本郵便によると、1回は配達したことを示す「初回配達」はほぼ完了したものの、受取人不在などで558万通が市区町村に戻った。
これらは簡易書留の再送や窓口での受け取りとなり、その分を含めると、全体の90・2%にあたる5126万2000通が住民の手元に渡った。制度開始に向けて、年末年始も大忙しの状況だ。
電力の小売り事業が4月に全面自由化され、すでに自由化されている大口需要家向けに続いて一般家庭や商店などへの電力販売に新規参入できるようになる。電気料金に対する規制も緩和され、消費者らは価格やサービスで小売り事業者を選べる時代になる。国内全体で20兆円規模になる電力市場のうち、8兆円規模に上る小口需要家向けの市場をめぐって、激しい競争が展開される見込みだ。
全面自由化後に電力を販売できる「小売電気事業者」として経済産業省が登録を受理した企業は、29日時点でガス・石油系、鉄道系、商社系、通信系など計119社に上る。すでに東京ガスや大阪ガスが、ガスとのセット販売などのサービスメニューを発表。年明け早々には各社の料金・サービスが出そろい、契約受け付けが始まる見通しだ。
外国から日本を訪れる訪日外国人数は、15年に1900万人を超え、16年には2000万人突破が確実視されている。政府は2000万人突破を20年の目標としていたが、前倒しでの達成がほぼ確実になったことを受け、11月に「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を設置。新たな数値目標の設定に向け、協議を進め、具体策などをまとめた観光ビジョンを策定する。
15年の訪日外国人数は、1月に中国向けのビザ発給要件を緩和したことで弾みがつき、中国は国・地域別で11月までに10カ月連続トップとなるなど、全体の伸びをけん引している。中国人を中心とした「爆買い」は、頭打ちの国内消費を尻目に存在感を増しており、15年の訪日外国人の旅行消費は3兆円を超える見通し。16年はさらなる旅行消費の伸びが期待される。
8月から6月へ―。政府の要請を受けて、大学生の採用選考の解禁日を8月に後ろ倒しした経団連。大学生の勉学を優先した変更だったが、16年春採用の就職戦線は大混乱。採用現場からの批判を受けて16年は2カ月前倒しすることになった。
就活改革の初年度にあたる今年、現場は大混乱に陥った。経団連非加盟の外資系企業や中小企業が先行。これに焦りを感じた一部の大企業では、水面下で選考活動を展開するなど、足並みが大きく乱れる結果を招いた。
大企業が活動を本格化すると中小企業では採用取り消しが相次いだほか就職活動を終わらせ自社に入社させようとする“オワハラ”も社会問題化した。
現場からの非難を受け経団連は就活時期を再度見直し。採用選考開始を6月に変更することを決め正常化を模索することになった。
新東名高速道路の浜松いなさジャンクション(JCT、浜松市北区)―豊田東JCT(愛知県豊田市)間、55・2キロメートルが2月13日に開通する。東名高速との2重化で輸送量が増え、慢性的な渋滞の緩和や工場立地の増加などが期待される。
東名高速道路は渋滞が頻発。中日本高速道路によると東名三ヶ日JCT(浜松市北区)―豊田JCT(愛知県豊田市)間で11年に年間約900回の渋滞が起きたが、12年に新東名が一部開通した後は年600回以下に減少。16年の浜松―豊田間開通で年200回以下に減る見込みだ。
沿線の工場立地件数も増加。東三河・岡崎地域の工場立地件数はリーマン・ショック後の09年は12件だったが、13年には17件に増えたという。新東名は東名よりも内陸部を通るため、南海トラフ巨大地震などの被害も受けにくいとされる。
16年の主要国首脳会議(サミット)が三重県志摩市で5月26―27日に開催される。国内開催は08年の北海道洞爺湖サミット以来。各国のリーダーが世界経済や地域情勢、環境問題などを広く議論する。
安倍晋三首相は「議長国として、世界の平和と繁栄のため、世界のリーダーたちと率直に話し合いたい」と語っている。「せっかくの機会でもあるので、伊勢神宮をはじめ、日本の伝統や文化、美しい自然を存分に味わっていただきたい」と”おもてなし“を提供する考えだ。
首脳会合とともに、関係閣僚会合も各地で予定されている。例えば、外務相会合は広島市で、エネルギー相会合は北九州市で開かれる。
ただ、11月に発生したパリ同時多発テロのように、テロの脅威は確実に高まっている。日本政府はサイバー攻撃やドローン(飛行ロボット)など新たな脅威も念頭に警備対策の強化を急ぐ。
社会保障・税番号(マイナンバー)制度がいよいよ年明けから本格運用に入る。まずは社会保障、税、災害対策の3分野での限定使用となるが、3年後には制度の利用範囲が広がる予定。社会全体に大きな変革をもたらすことになる。
マイナンバー制度は住民票を持つすべての人に12ケタの番号を割り振る。番号を記載した「通知カード」の配達は10月に始まっているが、受取人不在などの場合、市区町村に返送される。
日本郵便によると、1回は配達したことを示す「初回配達」はほぼ完了したものの、受取人不在などで558万通が市区町村に戻った。
これらは簡易書留の再送や窓口での受け取りとなり、その分を含めると、全体の90・2%にあたる5126万2000通が住民の手元に渡った。制度開始に向けて、年末年始も大忙しの状況だ。
電力小売り全面自由化、家庭向け参入相次ぐ
電力の小売り事業が4月に全面自由化され、すでに自由化されている大口需要家向けに続いて一般家庭や商店などへの電力販売に新規参入できるようになる。電気料金に対する規制も緩和され、消費者らは価格やサービスで小売り事業者を選べる時代になる。国内全体で20兆円規模になる電力市場のうち、8兆円規模に上る小口需要家向けの市場をめぐって、激しい競争が展開される見込みだ。
全面自由化後に電力を販売できる「小売電気事業者」として経済産業省が登録を受理した企業は、29日時点でガス・石油系、鉄道系、商社系、通信系など計119社に上る。すでに東京ガスや大阪ガスが、ガスとのセット販売などのサービスメニューを発表。年明け早々には各社の料金・サービスが出そろい、契約受け付けが始まる見通しだ。
訪日外国人2000万人突破確実、新たな目標へ
外国から日本を訪れる訪日外国人数は、15年に1900万人を超え、16年には2000万人突破が確実視されている。政府は2000万人突破を20年の目標としていたが、前倒しでの達成がほぼ確実になったことを受け、11月に「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を設置。新たな数値目標の設定に向け、協議を進め、具体策などをまとめた観光ビジョンを策定する。
15年の訪日外国人数は、1月に中国向けのビザ発給要件を緩和したことで弾みがつき、中国は国・地域別で11月までに10カ月連続トップとなるなど、全体の伸びをけん引している。中国人を中心とした「爆買い」は、頭打ちの国内消費を尻目に存在感を増しており、15年の訪日外国人の旅行消費は3兆円を超える見通し。16年はさらなる旅行消費の伸びが期待される。
大学生の就活前倒し。8月から6月へ
8月から6月へ―。政府の要請を受けて、大学生の採用選考の解禁日を8月に後ろ倒しした経団連。大学生の勉学を優先した変更だったが、16年春採用の就職戦線は大混乱。採用現場からの批判を受けて16年は2カ月前倒しすることになった。
就活改革の初年度にあたる今年、現場は大混乱に陥った。経団連非加盟の外資系企業や中小企業が先行。これに焦りを感じた一部の大企業では、水面下で選考活動を展開するなど、足並みが大きく乱れる結果を招いた。
大企業が活動を本格化すると中小企業では採用取り消しが相次いだほか就職活動を終わらせ自社に入社させようとする“オワハラ”も社会問題化した。
現場からの非難を受け経団連は就活時期を再度見直し。採用選考開始を6月に変更することを決め正常化を模索することになった。
新東名高速道路が開通、慢性的な渋滞緩和へ
新東名高速道路の浜松いなさジャンクション(JCT、浜松市北区)―豊田東JCT(愛知県豊田市)間、55・2キロメートルが2月13日に開通する。東名高速との2重化で輸送量が増え、慢性的な渋滞の緩和や工場立地の増加などが期待される。
東名高速道路は渋滞が頻発。中日本高速道路によると東名三ヶ日JCT(浜松市北区)―豊田JCT(愛知県豊田市)間で11年に年間約900回の渋滞が起きたが、12年に新東名が一部開通した後は年600回以下に減少。16年の浜松―豊田間開通で年200回以下に減る見込みだ。
沿線の工場立地件数も増加。東三河・岡崎地域の工場立地件数はリーマン・ショック後の09年は12件だったが、13年には17件に増えたという。新東名は東名よりも内陸部を通るため、南海トラフ巨大地震などの被害も受けにくいとされる。
伊勢志摩サミット開催。テロ脅威に備え
16年の主要国首脳会議(サミット)が三重県志摩市で5月26―27日に開催される。国内開催は08年の北海道洞爺湖サミット以来。各国のリーダーが世界経済や地域情勢、環境問題などを広く議論する。
安倍晋三首相は「議長国として、世界の平和と繁栄のため、世界のリーダーたちと率直に話し合いたい」と語っている。「せっかくの機会でもあるので、伊勢神宮をはじめ、日本の伝統や文化、美しい自然を存分に味わっていただきたい」と”おもてなし“を提供する考えだ。
首脳会合とともに、関係閣僚会合も各地で予定されている。例えば、外務相会合は広島市で、エネルギー相会合は北九州市で開かれる。
ただ、11月に発生したパリ同時多発テロのように、テロの脅威は確実に高まっている。日本政府はサイバー攻撃やドローン(飛行ロボット)など新たな脅威も念頭に警備対策の強化を急ぐ。