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三菱電機がパワー半導体で攻める、開発効率化へ一手

設計を共通化
三菱電機がパワー半導体で攻める、開発効率化へ一手

EVや再生エネなど脱炭素関連で今後需要拡大が見込まれるパワー半導体の開発を効率化する

三菱電機は自動車や産業、鉄道などの非民生向けパワー半導体の設計共通化に乗り出す。エアコンなどの民生向けと違って従来はカスタマイズ(個別対応)中心の少量多品種生産だったが、それが同業他社と比べた低収益の一因だった。設計のプラットフォーム(基盤)をつくり、脱炭素社会に貢献できる省エネルギーデバイス開発を効率化する。2025年度めどに一部製品での導入を目指す。

三菱電機のパワー半導体事業は現在、分野別売上規模で産業・再生可能エネルギー・鉄道が全体の半分を占め、残りを自動車と民生で分ける構成だ。今後電動化で高い成長の見込める車載を含めた非民生分野の開発効率化が課題となる。

民生分野は主にエアコンの圧縮機・ファンや洗濯機、冷蔵庫などに搭載し、すでにプラットフォームを統一して製品シリーズの集約がほぼ完了する。先行する量産系で得た技術・ノウハウを、個別生産が大半の非民生分野へ横展開する戦略だ。顧客ごとのカスタマイズ部分を極力減らす。

特に今後需要が爆発的に伸びる自動車向けの開発効率化が不可欠となる。顧客である自動車メーカーや自動車部品メーカーの要求に全て個別対応していたら、製品の種類だけが膨大に増えて設計だけでなく工場の生産効率も下がる悪循環に陥りかねない。新車への採用までに数年かかるため、早期の設計共通化で先手を打つ。

三菱電機は25年度にパワー半導体事業の売上高を20年度比62%増の2400億円以上、営業利益率を同9・6ポイント増の10%以上に引き上げる計画。

自動車を中心とする需要拡大に応えるとともに、開発負担軽減で収益力を高めなければ継続的な設備投資などをまかなえない。同じく主力事業のFAシステムやエアコン、昇降機にとってもパワー半導体はキーデバイスであり、全社の競争力を左右する存在となっている。


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日刊工業新聞2022年3月4日

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