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ネイティブアプリで復活を期すグリーの養成所「ガレージスタジオ部」とは?

昨年8月からの受講者は90人を超え10本を市場リリース。コンテンツの幅も広がる
ネイティブアプリで復活を期すグリーの養成所「ガレージスタジオ部」とは?

とにかく『新しい遊び』を作ることを目的に

 ダウンロードをしなくてもインターネット上で遊べるウェブゲーム主流から、市場が拡大するスマートフォン向けゲームアプリケーション(応用ソフト)に軸足を移そうと奮闘するグリー。ゲームアプリ専門スタジオ「ライトフライヤースタジオ」を設立して体制を整える一方で、ゲームアプリ開発人材の育成が必須課題に浮上してきた。ゲームアプリとウェブ対応ゲームでは開発手法が全く異なるからだ。

 【新しい遊び作る】
 そこで2014年8月に立ち上げたのが「ガレージスタジオ部」。スマホ向けゲーム開発の経験がない社員全てを対象に、エンジニアとゲームのシナリオを作るプランナーを育成する組織だ。3カ月でスマホ向けゲームの企画からリリースまで行うという内容で、参加者は業務の一環として取り組む。

 同部を統括する岸田崇志執行役員はこの取り組みについて「とにかく『新しい遊び』を作ることが目的だ」と語る。今、日本では圧倒的に隙間時間を利用してスマホ向けゲームを楽しむ人が多い。その隙間時間にできる「面白さを追求する」ことが大事だという。それが今後のスマホ向けゲームを発展させる要素となる。

 具体的には研修プログラムと実践トレーニングの2段階に分かれる。まずは1カ月で開発に必要な言語などを習得する。ヒットしたゲームをコピーすることで開発の感覚を磨いていく。ゲーム上で必要なアニメーションや音の効果など表現力まで身につける。その次が実践となる。2カ月で実際にオリジナルゲーム1本を開発し、企画からリリースまでの段階を学ぶ。「作り込まないこと」が大前提となっている。そのなかで特定の技術や表現方法を磨いていき、それが開発要素技術の訓練になる。

 【収益とバランス】
 これまでに91人が受講した。開発タイトル数は20本でそのうち10本は既にリリース。従来の同社のゲームはカードゲームが中心だったが、この取り組みを通じてバリエーションが増えてきた。受講者はすべてゲームアプリ開発部署へ異動した。今後は「面白さとマネタイズ(収益化)のバランスが良い」(岸田執行役員)ゲームアプリをいかに追求できるかが課題となる。
日刊工業新聞2015年03月24日 モノづくり面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
グリーが誕生して約10年、ベンチャーだから山あり谷ありは当然。パソコンからフィーチャーフォンへのシフトは流れにのった。逆にスマホウェブからネイティブアプリへのシフトは出遅れたが、人員の再配置はほぼ完了している。先日のイベントで田中良和社長は「スティーブ・ジョブズにあこがれている。ジョブズもゲイツも30年やって今に至る。ならばグリーも30年やらないといけない」と語っている。今、米国でイノベーションの中核を担うアップルやマイクロソフトが創業したのは米経済がどん底だったレーガン政権誕生前後。これから生まれる会社が20―30年後の日本を形作る。

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