ルネサスCEOが辞任直前のインタビューで語っていたこと

たった4日前の遠藤氏「他社の傘下に入るのではなく、自助努力で成長を描く」

 ルネサスエレクトロニクスは、遠藤隆雄会長兼最高経営責任者(CEO)が25日付で辞任する人事を決めた。6月の就任からわずか半年。「一身上の都合で本人から申し出があった」(ルネサス広報)と説明するが、業界関係者からは「大株主の産業革新機構との間で経営路線の食い違いがあった」との指摘も挙がる。突然の辞任の背景には何があったのか。21日に日刊工業新聞が行ったインタビューから探った。遠藤氏のインタビューは約50分。そのうち30分近くを他社との提携戦略に関する質疑応答に費やした。

 「M&A(合併・買収)する側に立って自力成長を実現する」―。遠藤氏は「自力成長」という言葉を繰り返した。車の先端運転支援システム(ADAS)や、モノのインターネット(IoT)の両分野を強化する狙いで主に海外の半導体メーカーにM&Aを仕掛ける意向を示していた。

 経営不振に陥ったルネサスは、2013年9月に革新機構のほかトヨタ自動車など民間8社から資本支援を受け、工場閉鎖や人員削減といった大規模な構造改革を実行した。15年3月期には10年の会社発足以来、初めて当期黒字を確保した。

 リストラから成長にかじを切るタイミングでトップのバトンを受けた遠藤氏は、「他社の傘下に入るのではなく、自助努力による成長を描く。リストラに耐えた社員や、顧客企業もそれを期待している」と話した。

 「ルネサスへの投資を決めてから約3年。(投資回収の)出口戦略を真剣に考えなければいけないタイミングになってきたのは確か」―。ルネサス株式の69%超を保有する官民ファンド、革新機構の関係者はこう話す。

 革新機構では独インフィニオン・テクノロジーズとの協業や、ルネサスの既存株主であるトヨタ自動車やパナソニックへの株式の売却が検討されてきた。また民間ファンドという側面から「利益確定のため市場売却を主張する向きもある」(業界関係者)。9月末にはロックアップ(株式を売却できない期間)が解除となり、今は出口戦略をいつ実行に移してもおかしくない状況にある。

 革新機構関係者は「遠藤氏に辞任を迫ったことはない」と説明する。遠藤氏は「(革新機構から)いろいろとご意見をいただくこともある」と考え方に相違点があることを認めつつも、「自助努力による成長を支持してくれる声はある。しっかり議論していく」と語っていた。

 しかし、独自のM&A戦略に活路を見いだす遠藤氏と、出口戦略を優先したい革新機構との間で溝が広がってしまったとみられている。

2015年12月29日 電機・電子部品
日刊工業新聞電子版

明 豊

明 豊
12月30日
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シャープ、東芝の問題がなければこうはならなかっただろう。いろいなパズルをとかなければいけない。

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