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大賞は宇宙アバター、内閣府が表彰するユニークなオープンイノベーションたち

内閣府は第4回日本オープンイノベーション大賞の受賞者を決めた。内閣総理大臣賞は、宇宙や遠隔地での作業・コミュニケーションを可能にするアバター(分身)技術で、アバターイン(東京都中央区、深堀昂社長)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、大分県のグループだ。計13の賞が14の取り組みに授与される。表彰式は22日、東京都千代田区の内閣府で行われる。

アバターインなどは距離、時間、身体の制限を超えた社会課題解決を産学官連携で取り組む。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に設置される宇宙アバターを、一般約400人が街中から操作する実証試験を行った。

科学技術政策担当大臣賞は肺ではなく腸から呼吸機能を確保する「腸換気法」で東京医科歯科大学、EVAセラピューティクス(大阪市北区、尾崎拡社長)、丸石製薬(大阪市鶴見区、井上勝人社長)、ムネ製薬(兵庫県淡路市、西岡一輝社長)のグループだ。かん腸治療による再生医療で、開発から販売まで体制を構築した。

文部科学大臣賞は人工知能(AI)の20代のコミュニティーで東京大学や京都大学、エクサウィザーズ、プリファードネットワークス(東京都千代田区、西川徹社長)などのグループ。50回以上のイベントを開催し、累計5000人超が参加した。

日刊工業新聞2022年2月1日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
腸換気法を今回、知って「こんなのあり?」と驚いたが、すでに販売まで体制を構築する進みようだという。同じ再生医療でも、皆がワードだけで反応するiPS細胞に比べて、地味にみえてユニークさはかなりのものだ。アバターインの案件は「宇宙とのやりとり」から「地上の遠隔地とのやりとり」になる広がりにひかれた。ニッチのトップ技術を、ニッチでないイノベーションへ展開する意識が大事だと感じた。

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