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建機、中国需要の回復は17年前半か

頼みの北米市場も失速
 建設機械業界は2015年、中国での大幅な需要低迷に苦しんだ。通常はかき入れ時の春節明け商戦も、「空振りだったのは間違いない」(大橋徹二コマツ社長)と形容されるほど苦戦。地方政府の公共投資抑制や不動産投資の鈍化の影響で、油圧ショベルの需要は前年同月の半分ほどに落ち込む。中国での不振を受け、16年3月期業績見通しの下方修正が相次いだ。

 地方政府が投資を控えているため、鉄道敷設や河川造成などの大型工事が減っているという。習近平国家主席が進める反腐敗運動での摘発を恐れ、大型工事に後ろ向きになっているとみられる。

 前年の半分という低空飛行が続くかは別にして、需要低迷は今後も続くとの見方が大勢だ。日立建機の桂山哲夫執行役常務最高財務責任者(CFO)は「夏場も需要が立ち上がらなかった。下期も回復しないだろう」と予想する。

 16年の春節明けも需要が高まらない見通しだ。例年、春節明け商戦に備えて生産を増やし、在庫を蓄えるが、「今年は通常の生産体制で乗り切れる」(藤岡純コベルコ建機社長)、「特段大規模な増産計画は立てていない」(大橋コマツ社長)との声が挙がる。

 需要が回復するかは、中国政府が景気減速にどんな手を打つか次第という面がある。地方政府の財政難が解消されることや、新常態による新たな成長路線が整うことが条件になりそうだ。政府の景気刺激策の効果が出て、需要が回復するのは「17年第2四半期ごろになるのでは」(平岡明彦日立建機執行役専務)との予想が出ている。

 各社とも中国、東南アジアなど新興国での不振を、北米など先進国の堅調さでカバーしてきた。ただ、北米もシェール開発向け需要が今後落ち込むとみられる。先進国市場が持ちこたえているうちに、中国をはじめとする新興国市場をいかに立て直すか。耐える局面の中でも、次の一手が求められる。
(文=戸村智幸)
日刊工業新聞2015年12月7日機械面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
我が地元のコマツ。粟津工場(石川県小松市)は能増ではない投資をしっかり継続している。雌伏の時にいかに過ごすか。さすがコマツはぬかりない。方や日立建機。親会社の日立製作所は早晩、日立建機の資本戦略を考える時期がくるだろう。今の形の上場子会社ではコマツと差が開いていく。本体に完全に取り込むか、他社との提携に動くか。

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