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ホンダジェット、引き渡し開始。MRJは納入延期

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ホンダジェットの引き渡し
 ホンダは24日、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の引き渡しを始めたと発表した。米航空機子会社ホンダエアクラフトカンパニー(ノースカロライナ州)の藤野道格社長は「ついに大空へのモビリティの提供を実現した。世界中の空港でご覧いただけるよう努力したい」とコメントしている。

 ホンダジェットは定員7人で8日に米連邦航空局(FAA)から型式証明を取得していた。米国を中心に100機以上の受注があり、同州グリーンズボロの工場で生産して順次引き渡す。

 一方、三菱重工業と子会社の三菱航空機(愛知県豊山町)は24日、国産小型旅客機「MRJ」の初号機納入が従来計画の2017年4―6月から1年程度遅れ、18年半ばになると発表した。主翼に荷重をかける試験を解析したところ、目的とする強度に達せず、改修が必要になった。また開発状況を経験豊富な米国の技術者らと精査し直したところ、一部試験の追加が必要になったという。納入延期は4度目。

 「我々に欠けているのは実行力」。森本浩通三菱航空機社長は24日に開いた会見で、初号機の納入延期を釈明した。初号機を受け取る全日本空輸(ANA)などとは納期変更の協議に入っており、現時点でキャンセルはないという。

 MRJは11月11日、国産旅客機として53年ぶりの初飛行。しかし同月27日に実施した3回目の飛行以降は、主翼の付け根や胴体部分の改修作業に入っており、飛行試験の再開は1月後半となる予定だ。飛行試験そのものは良好だが、地上試験の一環で主翼強度を解析したところ、型式証明の取得に必要な「運用中に想定される最大荷重の1・5倍を3秒間かけても耐える」試験に通らない可能性が出て、改修することにしたという。こうした開発状況を経験豊富な米国人技術者とともに話し合い、全体計画を見直した。

 16年夏から計画していた米国での飛行試験も半年程度遅らせる。「米国には役員級の日本人社員を駐在させ、開発を加速させる」(岸信夫三菱航空機副社長)。型式証明取得までの総飛行時間は約2500時間から変えない。

 一方、量産計画への影響も「生産レート(機数)の引き上げは緩やかになるが(20年に)月10機の量産体制に変更はない」(鯨井洋一三菱重工業副社長)と強調した。

<会見要旨>三菱航空機・森本社長「優位性十分ある」


 ―延期の理由は。
 三菱航空機副社長・岸信夫氏 50年ぶりで(所要期間の設定などに)知見が足りなかった。4月の初飛行見直し以降はほぼ計画通り。より使い勝手のよい機体にするため見直しは常にある。飛行試験を元に問題解決に具体的にどれぐらいかかるかパートナーと調整した。

 ―見直した点は。
 岸氏 地上試験を増やした。主翼やランディングギア(降着装置)を改修する。アビオニクス(電子機器)などの操縦系統、エンジン系統のソフトウエアも改良した。(約2500時間の)飛行試験の計画は変えていない。

 ―今後への影響は。
 三菱重工業副社長・鯨井洋一氏 直近の影響は18、19年で収束させる。20年に向け量産体制を整備していく。量産には全く影響はない。

 ―顧客の反応は。
 三菱航空機社長・森本浩通氏 全日空から「残念だが、一体感を持って進めていこう」との言葉を頂いた。米トランス・ステーツへの詳しい説明も年明け。違約金の要求もキャンセルの話も今はない。

 ―初飛行後の引き合いは。
 森本氏 (まだ受注のない)欧州の会社も含め、引き合いが増え、中には具体的な計画を伴う案件もある。初飛行の成果は大きい。市場が急に変わるわけではない。他社に比べて環境適応性などの優位は十分にある。

<次のページは受注競争に影響はあるか?>

日刊工業新聞2015年12月25日3面/航空機面

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