神戸発、モダンな「お香」が海外に打って出る!

マッチメーカーとお香メーカー、伝統産業と女性クリエイターがコラボ

マッチのように擦って着火できるお香「hibi(ひび)」
 神戸マッチ(兵庫県太子町)は、着火具が不要でマッチを擦るように火をつけられる独自のお香を4月に発売した。マッチメーカーの同社と兵庫県のお香メーカー、神戸市のデザインスタジオがコラボレーションし、3年半かけて商品化した。同商品は9月に「大阪インターナショナル・ギフト・ショー」でグランプリを獲得するなど注目されてきた。

 「マッチ、お香はともに兵庫県の代表的な地場産業。ただ何もしなければ衰退する。一緒に新しい市場を作りませんか」。2011年、神戸マッチの嵯峨山社長は、線香やお香を製造する大発(兵庫県淡路市)の下村暢作社長に声をかけた。業界の将来を危惧していた2人は意気投合し、互いの技術を生かせる新商品の共同開発で合意。新たなブランドも立ち上げるため、嵯峨山社長が懇意にするトランクデザイン(神戸市垂水区)代表でデザイナーの堀内康広氏にも協力を仰いだ。

 メーカー2社とクリエイターとでプロジェクトチームが発足。神戸、太子町、淡路島の互いの現場を行き来しつつ議論を重ね、商品開発を進めた。形状として長さ50ミリメートルのマッチ形状のお香に着火部となるマッチの先端部をつけた。通常はパキンと折れるお香をどう粘り強くするか、試行錯誤が続いた。お香の主成分のタブ粉に和紙を加えたり、燃焼性の維持のため炭の粉を混合したりした。商品化にあたり2社で特許や商標も共同出願した。

 ポイントの香りは、女性クリエイターにも参画してもらい、最終的にレモングラスやラベンダーなど5種類を選定した。日常生活で気軽に10分お香を楽しんでもらおうとの狙いで、商品名は「hibi(ひび) 10MINUTES AROMA」と決まった。

祖父、父と引き継いできたマッチのルーツを残す


 4月に商品を発表して以降は、商品を扱う店舗を地道に開拓していった。「ひび」はブランドの世界観を大事にするため、販売店は自然派志向のこだわりショップや東急ハンズなどに決めた。現在は全国42店舗に商品が置かれ、月間販売は50万円ほど。これを倍々ゲームで増やし「将来の年間販売は3億6000万円を目指す」(嵯峨山社長)とする。

 「ひび」は、デザインや機能に優れた日本商材を選定し海外に広める経済産業省の事業「ザ・ワンダー500」の一品にも8月に選ばれた。海外からの注文もあり、嵯峨山社長は「来年は海外にも売って出る」と宣言。2016年1月にパリで開かれる国際見本市に、ジェトロの支援を受けて出展する予定だ。

 「ひび」の価格は8本入り専用マット付で650円(消費税抜き)と割高感がある。このため12月中には30本入り商品を約2000円で販売する予定。

 同社では今後も香りをキーワードに「ひび」の商品アイテムを広げていく。一方で「創業者の祖父、父と引き継いできたマッチのルーツは残したい」と嵯峨山社長は語る。伝統と革新を融合する挑戦は続いている。
(文=神戸・広瀬友彦)

日刊工業新聞2015年12月25日モノづくり面

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

私はお香の類いが大好き。日本の伝統的なものはもちろんですが、東南アジアのお香はパッケージも個性的でお土産にもらうと嬉しいものですが、日本にもこんな斬新な商品があったとは。身近な所ではどこで入手できるのか早速、チェックしなくては。

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