川重、中国・欧州で存在感を強める―ロボット事業拡大へ

中国ロボット生産品目拡大、欧州連携強化

  • 1
  • 0
中国で生産開始する大型汎用ロボット
 川崎重工業は中国江蘇省蘇州市のロボット工場で生産する品目の拡充に乗り出す。6月に本格稼働する同工場は、新製品3機種の生産でスタートするが、ロボットの地産地消を促す中国政府の関税施策などを踏まえ、現地生産の対象を広げる競争力のあるコスト、納期でロボットを供給し人手不足などを背景に拡大する中国の自動化需要を取り込む。主力の自動車向けのみならず電気電子や一般機械など幅広い分野をターゲットに生産品目を順次追加し、2018年度に中国で年産1万台を目指す。

 稼働開始時の生産品目に2―3年で、スマートフォン生産向けに需要が急拡大する可搬質量5キログラム前後の小型ロボットなどを候補に数機種を追加し、中国市場の開拓を加速させる方針。
 同工場では作業の8割近くを自動化し、部品もほぼ100%を現地で調達する。このためロボットによる製造や部品の現地調達が可能かを見極めたうえで、具体的な現地生産品目を決める。

 中国政府は産業育成の観点から海外製ロボットを関税ゼロで受け入れてきたが、14年に溶接専用のロボットを関税品目に追加するなど方針を改めつつある。中国ロボットメーカーが台頭し日系メーカーも現地生産化を進めていることが理由。

 現状では汎用ロボットとして輸出しているケースがほとんどで日系メーカーへの関税の影響は小さいが「今後課税対象が拡大する可能性は大きい」(業界関係者)とみる向きは多く、一つの解として現地生産の拡大が進みそうだ。同社が当面中国で生産するのは、3月に発売した大型汎用ロボ、パレタイジング(荷積み)ロボ、小型アーク溶接ロボの3機種。16年度に計4000台近くの生産を見込んでいる。

(日刊工業新聞2015年04月17日 総合1面)


<関連記事>
川重、ロボット事業拡大−欧車関連に照準

 川崎重工業は欧州自動車関連企業をターゲットに、現地のロボット事業を拡大させる。ドイツや東欧で協業するシステム構築(SI)企業との連携を強化するほか、計測技術などを持つ新たなSI企業の発掘も進め、アプリケーションを拡充する。無人搬送車(AGV)と小型ロボットを組み合わせた可動型セル生産ロボットシステムや検査システムなど、得意の溶接、塗装向けにとどまらない幅広い領域を開拓する方針。日系と比べると少ない現地企業向けの採用実績を伸ばし、2020年に自動車関連を含む欧州でのロボット販売を現状の3・5倍近くに引き上げる。

 欧州市場で中心となるドイツのほか、ポーランドやチェコといった東欧地域で協業するSI企業の開拓を図る。要素技術やセンサー技術を持ち自動車や自動車部品の生産システムに強いSI企業が対象。直近ではAGVの技術を持つ欧州のSI企業と連携し、小型汎用ロボットを用いた可動型セル生産ロボットシステムを投入した。また、計測技術に強みを持つSI企業と共同で完成車や部品向けの自動検査システムも開発。近く現地自動車工場への導入が決まる見通しだ。

 川崎重工は欧州では一般産業分野で使うロボットの売上比率が高い。拡大余地のある自動車向けを伸ばし、事業の成長につなげる。
 東欧では自動車関連工場の新設が増えており、競争力強化を目的に初めから自動化が志向されることが多い。日系ロボットメーカー各社は溶接、塗装といったボリュームゾーンを中心に需要の取り込みを狙うが、現地では独クーカやスイスのABBなど欧州メーカーが強いのが現状。川崎重工は既存アプリケーションに検査用など新たな武器を加え競合に対抗する。

日刊工業新聞2015年04月17日 機械・ロボット・航空機1面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

2014年には世界の産業ロボット販売台数で首位に立った中国。昨年上海で開催されたロボット展では、川崎重工は大規模な自動車溶接ラインを出展。中国人の熱視線を集めていました。 後半の欧州の記事はドイツで開催中のハノーバーメッセ取材中の記者より。 日本ロボットメーカーのブランド力は高いですが、中国ではローカルメーカーも少しずつ力をつけ、欧州では現地ライバルと競争。そんな中で世界規模で存在感を強めようとする川崎重工の姿勢が見られます。

関連する記事はこちら

特集