繊維各社が本気になり始めた身に着ける「スマート素材」

サービス内容競う

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東洋紡は立命館大などと共同で生体情報計測ウエアを試作
 繊維メーカー各社が、ウエアラブル端末向け素材の開発を活発化している。心拍数など生体情報を計測できる素材や、「曲げる、ひねる」といった生地の動きを計測できる素材が登場。眼鏡や腕時計の形のウエアラブル端末が注目される中、衣服として着用できる素材の開発で、消費者に提供できるサービスの幅が広がりそうだ。

 東レは着用者の心拍数などを計測できる機能性繊維「hitoe」を使った事業を展開。2016年早々にも、建設現場や工場などの作業者の健康状態を遠隔地から監視できるシステムの提供を始める。導電性樹脂をコーティングした生地で心拍数を計測するほか、センサーも搭載して作業者が転倒していないかを遠隔監視できる。

 生体情報計測ウエアと監視システムを、月額制のリース契約で提供する計画だ。NTTコミュニケーションズと連携し、クラウド上の計測データ管理などを任せる。

 東洋紡は8月に、心拍数などを計測する素材「COCOMI」の開発を発表した。立命館大学やオムロンヘルスケアと連携し、心拍数を計測できるウエアを試作。17年秋冬シーズンでの製品化を目指し、スポーツアパレルなどに提案中だ。「素材として売るか他社と共同開発するか、当社が最終品まで作って売るかは今後の検討」(東洋紡広報)という。

 帝人が関西大学と共同開発する素材は、他社と違った方向性を持つ。生地に加えられた曲げる、ひねるといった動きを計測できる圧電ファブリックを開発した。同素材の活用で、将来は遠隔手術・介護や職人技の可視化の実現も期待できる。「さまざまな業種の企業と用途開発を進めている。中でも医療・介護分野の開発が進展しており、17―18年頃の製品化を目指す」(帝人広報)としている。

 各社はスポーツ、企業ユニホーム、介護・医療業界をターゲットに事業化を進める。人々の生活様式も変えうる素材。異業種との連携で、自由な発想での製品化につなげる。

日刊工業新聞2015年12月24日 素材・ヘルスケア面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

「アップルウォッチ」が発売されたのが今年4月。そこから「ウェアラブル」という言葉が当たり前のようになった感もある。「アップルウォッチ」が装置として身に着けるのに対し、「hitoe」や「COCOMI」など機能性素材は、衣服として簡単に身にまとえる。抵抗感なく、そしてより高い精度で個人を「把握」することが可能になる。まさに、あらゆるものがネットでつながる「IoT」時代の主役の一つになる可能性を秘めている。

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