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羽田発着枠で政策コンテスト。配分延長は山形、鳥取、石見線

 国土交通省は12月22日、羽田発着枠政策コンテストで羽田発着枠の配分を受けた、日本航空(JAL)の羽田-山形線、全日本空輸(ANA)の羽田-鳥取線と羽田-石見線について、有識者による評価の結果、現在の配分を延長することを決めた。

 3路線のうち、もっとも評価が高かったのは山形線。A:大変優れている、B:一定の効果が認められる、C:大幅な改善を要する、D:成果が期待できないの4段階のうち、6人の有識者全員がA評価を与え、総合評価がAとなった。

 2位は鳥取線で、A評価が2人とB評価が4人で総合評価はB、3位の石見線はA評価が1人、残り5人はB評価で総合評価もBだった。

 今回の評価結果に基づき、最優秀の山形線は2016年3月27日から3年間、鳥取線と石見線は2年間、それぞれ発着枠配分を延長する。

石見以外目標上回る


 政策コンテスト枠は、地方自治体と航空会社が共同で地方路線の利用者を増やすアイデアを出し合い、優れた提案に配分するもので、2013年11月に配分が決まった。

 配分後、山形線は1日1往復が2往復に、鳥取線は1日4往復が5往復に、石見線は1日1往復が2往復に増便。2014年度の旅客数は2013年度比で、山形線は約2.6倍の7万9004人、鳥取線は3.5%増の32万6492人、石見線は48.3%増の10万5199人となった。各路線の目標は山形線が78万人、鳥取線が31万人、石見線が12万人で、石見を除き目標を上回った。

 2014年度のロードファクター(座席利用率)は、2013年度比で山形線が15.6ポイント上昇して71.9%、鳥取線が9.1ポイント低下し55.1%、石見線が8.4ポイント低下となる49.8%。目標値の山形線70%、鳥取線51.6%、石見線57.5%と比較すると、石見以外は目標を達成した。2015年度は4-10月期で、山形線が80.6%、鳥取線が61.8%、石見線が58.8%となっている。

 各路線の機材は、山形線がJALグループのジェイエア(JAR/XM)のエンブラエル170(E170)型機で1クラス76席、鳥取線がANAのボーイング737-800型機で2クラス166・167席、石見線がANAのエアバスA320型機で1クラス166席となっている。

評価と課題


 有識者を務めた委員からは、山形線について「ダイヤの利便性が格段に上がった」「空港の施設・設備が改善されてきて雰囲気も良くなっている」との評価があったのに対し、「機材の大型化が実現するまでは、ビジネス需要が優先されるように、頻繁に利用する企業は優先予約ができるなどの仕組みを検討してほしい」といった注文も出された。

 鳥取線については、「移住定住の促進はユニークで、他の地域でも参考になる」「空港の愛称を(マンガ名探偵コナンにちなみ)『コナン空港』としたことはユニークで、他空港も参考にできるよい事例だと認めるが、愛称が30年、40年後にどれだけの効果を持つかは疑問」との意見が出た。

 石見線については、「島根県立大学との連携はユニークで、地元の学生が取り組むことは長期的に地域の無形財産となり、地域活性化にもつながるだろう」「近隣空港が多いことを逆手にとり、広島、出雲、米子、鳥取などの空港と到着・出発をつないだ旅行商品造成に挑戦して欲しい」といった評価を受けた。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
羽田発着枠の政策コンテスト枠の配分が延長。山形・鳥取・石見のうち、山形がもっとも高評価でした。

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