「メタバース」で楽しく働く。大阪のスタートアップが「仮想オフィス」で目指す世界
OPSION(大阪市北区・深野崇社長)は仮想オフィス「RISA(リサ)」を2D版として大幅に刷新した。従来の3D版に比べてパソコン負荷を大幅に削減し、円滑に業務利用できるようにした。仮想空間の分野は「メタバース」と呼ばれ、今月開催された世界最大級の米・家電IT見本市「CES(セス)」で関連サービスの出展が相次ぐなど、注目を集めている。OPSIONはそうした動きを追い風に利用拡大を図る。導入社数について2022年内に現在の約40社から1200社まで拡大したい考えだ。
リサは自分のアバターを作成し、仮想のオフィス空間で職場の同僚などと交流できる。テレワーク環境の導入で失われた雑談の機会などを生み出す。ビデオ通話やチャット機能のほか、アバターが手を上げたり、頭を下げたりするモーション機能を搭載する。今回の刷新では、モーションの種類などを拡充した。リサの空間に社外の人を招待できる機能なども追加した。
また、従来は現実に近い環境を再現するため、3D版で提供していたが、パソコンへの負荷が大きく、使うパソコンの性能によって動作しにくくなる課題があった。そこで2D版に改め、CPUやメモリの使用率を約75%削減し、円滑に動作できるようにした。
仮想オフィスをめぐっては「メタバース」の認知度向上や、新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大などを背景に、足元で企業の関心が高まっている。オフィスだけではなく、イベント会場としてリサを使いたい需要も出てきているという。OPSIONの深野崇社長は「1月は21年12月に比べて5倍のペースで問い合わせがきている」と説明する。
一方、仮想オフィスは、富士ソフトの「FAMoffice(ファムオフィス)」やoViceの「oVice(オヴィス)」など競合は多い。その中で、リサはモーション機能などを通した“楽しい仕事場”作りによって差別化を図る。
深野社長は「リサは(仮想オフィスでの体験や仕掛けにエンターテイメント性を持たせて仕事に対する意欲を前向きにする)『WORK AS PLAY』をコンセプトに掲げており、実際にモーション機能などが既存ユーザーから評価されている。今後はタスクをこなすとアバターの服がもらえるといったゲーム性を取り入れるなど、日常の仕事を楽しめる要素を重点的に追加していきたい」と意気込む。