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今年の訪日外国人、45年ぶり出国者上回る。2000万人に近づく

旅行消費額は3兆円超え確実
 国土交通省は22日、2015年の訪日外国人数が、19日の時点で1900万人を突破したと発表した。同日の閣議後会見で石井啓一国交相が明らかにしたもので、年間について「1900万人台の後半に達するだろう」との見通しを示した。一方、日本から海外へ渡航する出国者数は11月末時点で1487万人に止まっており、1970年以来、45年ぶりに訪日外国人数が出国者数を上回ることが確実となった。

 15年の訪日外国人数は9月10日時点で、過去最高だった14年の1341万人を突破。その後も毎月、前年同期比40%超のペースで増え続けている。石井国交相は「ビザ緩和や消費税免税制度の拡充など、政府一丸の取り組みが功を奏した」と述べた。

 ビザ緩和では1月、有効期間中に何度でも入国できる「数次ビザ」の発給要件を、中国向けに緩和。これを機に中国の拡大傾向に弾みがつき、市場別の訪日旅行者数では、11月まで10カ月連続トップとなっている。

 訪日外国人の拡大は消費の伸びにもつながっており、1―9月の旅行消費額は前年同期比77%増の2兆5900億円と、年間では3兆円を超える見通しとなっている。訪日外国人が増え、出国する日本人が減る中、訪日外国人の国内の消費額から日本人の海外の消費額を差し引いた旅行収支は14年度に2099億円の黒字となり、55年ぶりに黒字に転換。15年度は4―9月の上半期ですでに6085億円の黒字と、14年度を超えている。
日刊工業新聞2015年12月23日 4面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
分かってはいたが出国者が減っているのは深刻。もちろんテレビ会議などで海外出張は減らせるが、グローバルでの日本のプレゼンスが落ちている数字の一つ。

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