トヨタが30年にEV350万台、電池合わせ4兆円投資
トヨタ自動車は、2030年までに30車種の電気自動車(EV)を投入し、EVの世界販売台数を350万台にする。従来は25年までに15車種と公表していた。またEVと車載電池に計4兆円を投資するほか、高級ブランド「レクサス」では35年にEV販売100%を目指す。ハイブリッド車(HV)なども含めた電動車のフルラインアップ戦略を掲げる中、EVも有力なピースの一つとしてあらためて投資強化の方針を打ち出す。
東京都内で会見した豊田章男社長は「EVはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現の有力な選択肢だ」と強調した。これまで30年までに200万台の目標を示していたが大幅に引き上げる。これに伴い、30年までに800万台としていた電動車の世界販売目標を950万台とする。
4兆円の投資では2兆円を車載電池の生産、研究開発に充てる。従来は1兆5000億円としていた。豊田社長は「さらに先進的で良品廉価の電池の実現を目指す」と話した。HVや燃料電池車(FCV)なども合わせて、電動車全体では30年までに8兆円を投資する計画だ。
トヨタはEVだけでなくHVやFCVなどの電動車を各地域のエネルギー事情や顧客の使い方に合わせて展開する「全方位戦略」を主軸とする。早々に脱エンジンを宣言した欧米の自動車メーカーに比べトヨタは“EV否定派”との声があるが、豊田社長は「(EVも含めて)選択の幅を広げたい。全メニューに対して真剣に取り組んでいく」と力を込めた。
日刊工業新聞2021年12月15日