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シャープ再建問題、決着は越年か

「(鴻海は)根性を決めた提案をしてきた。(日の丸ありきの)決め打ちで動いてない」(主力行幹部)
シャープ再建問題、決着は越年か

シャープの高橋社長

 経営難のシャープの再建と不振の元凶である液晶事業を巡り、主力銀行や政府系ファンド、海外企業などを含む交渉がようやく動きだす。自力再建できないシャープに対し、主力行は液晶事業を分社化して本体から切り出すなどの抜本改革を要請。早くから支援を表明する台湾・鴻海精密工業グループは分社化した液晶事業や、シャープ本体への出資など複数案を出した。政府系ファンドの産業革新機構も複数の投資スキームを検討し、22日に開く定例会議で議題に上げる見込みだ。

 主力行幹部は“日の丸液晶連合構想”に理解を示す。だが「(鴻海は)根性を決めた提案をしてきた。決め打ちで動いてない」と、日の丸ありきの流れをけん制。革新機構の債権放棄要求は銀行のステークホルダーの理解が得られないと反発する。ただ、禁じ手だが、すでに行った債務の株式化(DES)を再び行う可能性は「アイデアとしてはある」と含みを持たせた。

 革新機構は会議を開くが、「そこで何かが決まるわけではない」(関係者)。急ぎJDI株を売却してからシャープへ投資する案もあるが、その場合は、液晶産業の再編という大義名分を失うことになる。シャープ問題は越年しても、すぐには決着できそうにない。
(文=鈴木岳志、大阪・松中康雄)
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日刊工業新聞2015年12月18日3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
この2、3年ただ融資でシャープ問題を根本的解決を先送りしてきた銀行の罪は重い。さらに言えば、本来、リスクのある投資はエクイティファイナンスを優先すべきなのに、2000年代初めからシャープの液晶投資にバンバン融資してきたのが銀行ですから。

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